岩谷産業、国産SAFサプライチェーン構築に向けた取り組みに参加
国内廃食用油の排出元を開拓し、大規模国産SAF製造の原料調達に協力
岩谷産業と、コスモエネルギーHD、コスモ石油、日揮HD、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYの 6 社は、国内唯一の廃食用油を原料とした国産 SAF 製造設備における SAF 製造開始に向けて連携した取り組みを開始した。
岩谷産業は、コスモエネルギーHD のグループ会社であるコスモ石油と日揮 HD、レボインターナショナルの3社が共同で設立した SAFFAIRE SKY ENERGY ならびにレボインターナショナルと、国産 SAF の大規模製造及び供給に向けたサプライチェーンの拡大を目指し、廃食用油調達支援業務委託契約を締結した。原料となる廃食用油のさらなる調達に向け、岩谷産業の有する幅広いネットワークを活用し、SAF 供給に向けて連携する。また、岩谷産業は、SAF で飛行機が飛ぶ世界を実現するプロジェクト「Fry to Fly Project」にも参画し、本連携を通してプロジェクトの輪を広げる。
廃食用油調達支援業務委託契約の概要
岩谷産業は、SAFFAIRE SKY ENERGY からの業務委託を受け、岩谷産業が持つ全国約 330 万世帯の LP ガス顧客網や、産業ガス・エネルギー事業のネットワークを活用して、国内廃食用油の排出元を開拓し、国産 SAF の原料としての調達に協力する。レボインターナショナルは、岩谷産業が開拓した排出元から廃食用油を収集し、SAFFAIRE SKY ENERGY が大阪府堺市で推進する日本初となる国産 SAF の大規模生産プラント(2024 年 12 月完工)向けに納入する。さらに、SAFFAIRE SKY ENERGY は国内唯一となる国産SAF の大規模製造設備において、レボインターナショナルから納入された廃食用油を原料として SAF の製造を行う。
6社は共同で、廃食用油調達から、SAF の製造、航空会社への供給に至るまですべてのサプライチェーン構築を国内で実現する取組みを進める。なお、国内で回収した廃食用油を原料とした SAF は、2025年4月より製造及び供給が開始される予定。
各社の役割
- 岩谷産業: 全国約 330 万世帯の LP ガス顧客網や、産業ガス・エネルギー事業のネットワークを活用し、SAF の原料となる国内廃食用油の排出元を開拓
- コスモエネルギーHD: グループ全体の統括を行い、販売網の拡大や戦略立案を支援する役割を果たす
- コスモ石油: SAF(持続可能な航空燃料)の製造および、航空各会社への販売、輸送を主に担当し、安定した供給体制を確立する役割を担う
- 日揮 HD: 廃食用油を原料とする SAF 製造事業に関するサプライチェーンの全体構築
- レボインターナショナル: 岩谷産業が開拓した排出元から廃食用油を収集し、SAFFAIRE SKY ENERGY が大阪府堺市で推進する日本初となる国産 SAF の大規模生産プラント(2024 年 12 月完工)向けに納入
- SAFFAIRE SKY ENERGY:廃食用油を原料とした SAF の製造
SAF の需要見通し
SAF とは、化石資源以外を原料とする持続可能な航空燃料で、原料が100%廃食用油の場合、原料の調達から SAF の製造、燃焼のバリューチェーン全体で、従来の航空燃料と比較して温室効果ガスを約 80%削減でき、ジェット燃料と同じ性能を有することから、航空セクターの脱炭素で中心的役割として世界各国で需要が高まっている。EU では 2025 年より SAF の供給義務化がスタートし、日本でも 2030 年に航空燃料の 10%を SAF に置き換える目標が設定され、その需要は今後ますます増加することが見込まれる。現在、SAF の主な原料である廃食用油は、全体の3割が海外に輸出され、割高な SAF を輸入している状態。そのため、国内初となる国産 SAF サプライチェーンの構築により、SAF自給率を高め、循環型社会の実現に取り組む。
国内初の SAF 大規模生産事業の概要


日揮 HD とレボインターナショナル、コスモ石油は共同で、国内における廃食用油の収集から SAF の製造・輸送・供給に至るまでのサプライチェーン構築に向けて事業化検討を進め、2022 年に新会社 SAFFAIRE SKY ENERGY を設立し、国内で発生する廃食用油のみを原料とした年間約 3 万キロリットルの SAF の供給を目指している。2024 年 12 月にコスモ石油堺製油所(大阪府堺市)内において SAF 製造装置の建設が完了し、2025 年 4 月からの供給開始を見込む。供給する SAF は、国際的な持続可能性認証である ISCC CORSIA認証を取得。なお、本事業は NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)より採択※を受けた助成事業。
※NEDO ホームページ:https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100312.html
Fry to Fly Project について
「Fry to Fly Project」は、家庭や店舗などで発生する廃食用油という国内資源を原料とする SAF で航空機が飛ぶ世界を実現するプロジェクト。日揮HD が事務局を務め、設立主旨に賛同する 212 の企業・自治体・団体が参加している(2025 年 3 月末日時点)。
※Fry to Fly Project 特設サイト:https://www.jgc.com/jp/esg-hsse/initiative/fry-to-fly/