高圧ガス工業 2025年3月期通期連結決算
2026年3月期の株主還元方針を見直し「配当性向50%を目安にDOE2.5%を下限」として配当を実施、年間配当金予想を20円増配
高圧ガス工業の2025年3月期通期連結決算は、売上高989億8300万円(前年同期比6.1%増)、営業利益59億6900万円(同4.0%増)、経常利益66億4200万円(同0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益47億8400万円(同6.2%増)だった。期末配当金は10円とし、中間配当とあわせた年間配当金は20円とした。
セグメント別の経営成績は次のとおり。
ガス事業
売上高は735億2900万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は65億9400万円(同7.6%増)。
鉄鋼、自動車、建設などの仕向け先において、需要回復が鈍く、更に原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移した。長年の事業活動により培われた強みを生かし、シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、地域に密着した営業に努めた。
『溶解アセチレン』は、自動車、造船及び建設・土木向けに需要が減少し、売上高は前期を下回った。『その他工業ガス等』は、酸素は銅製錬向けの需要増加、窒素は食品向けの需要増加、アルゴンは、住宅設備向けが増加した。LNG、アンモニア及びフルオロカーボンは、新規獲得により増加し、売上高は前期を上回った。『溶接溶断関連機器』は、設備工事の獲得や工作機械等の受注が回復し、売上高は前期を上回った。『容器』は、水素用長尺容器の新規獲得や消火設備装置向け容器の需要が増加し、売上高は前期を上回った。
化成品事業
売上高は215億6800万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は新設した甲賀工場の初期投資の影響で8億5600万円(同30.9%減)。
円安影響やナフサ価格の上昇による原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移した。さらなる生産体制の増強のために甲賀工場を新設し、仕向け先への製品の安定供給に努めるとともに、新しい技術開発により、環境配慮型水性接着剤や高耐候性塗料など環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。
『接着剤』は、ペガールは紙工用・塗料用が増加、ベトナムで木工用が増加した。シアノンはコンシューマー用が南米向けが減少したが、韓国向けの需要が増加、また、工業用がドイツで需要が増加した。ペガロックは欧米向けの需要が増加。売上高は、接着剤全般の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり、前期を上回った。『塗料』は、建築用塗料の戸建塗替え需要の低迷が続くなか、外装用高機能品の「ビーズコートシリーズ」等の高機能製品は伸長したものの、一般建築塗料・防水用塗料・工業用塗料が減少した。また、エアゾール製品は塗料・食品・防水スプレーが伸長したが、売上高は前期を下回った。
その他事業
売上高は38億8500万円(前年同期比3.9%増)、営業利益は9300万円(同279.5%増)。
LSIカード関連及び食品添加物の需要が増加した。
今後の見通し
2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高1020億円(前年同期比3.0%増)、営業利益63億円(同5.5%増)、経常利益71億円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億円(同5.9%減)を見込む。年間配当金予想は中間配当20円(前期比10円の増配)、期末配当20円(同10円の増配)の計40円と前期比20円の増配を見込む。
資本構成の適正化と⾃⼰資本の過剰な積み増しを回避するため、今期から株主還元⽅針を⾒直し、安定的かつ継続的な配当を実施する基本⽅針の下、「配当性向50%を目安にDOE2.5%を下限」として配当を実施する。また、機動的な⾃⼰株式取得も適宜検討する。