大陽日酸、スパッタ計数システム「サンアークスパッタカウンター」のレンタル開始

専用カメラで捉えた光の粒をスパッタ判定、静止画毎に個数を計測して溶接中に発生する個数を集計

 大陽日酸は、溶接中に発生するスパッタを数値化できる計数システム「サンアーク スパッタカウンター」を開発し、レンタルを2025年6月から開始した。専用カメラで捉えた光の粒をスパッタと判定し、静止画毎にスパッタの個数を計測、溶接中に発生する個数を集計する。本システムは、ソフト、カメラ一式、パソコンで構成され、方法および装置として特許を取得した。

 大陽日酸では、溶接品質の管理・向上に取り組む顧客向けにレンタル方式で幅広く提案し、スパッタ・不良品の減少と生産性向上を同時に図り、廃棄物の削減と省エネ効果から環境負荷の低減に貢献するとしている。(※「サンアーク」は大陽日酸の商標)

「サンアーク スパッタカウンター」によるスパッタ計数結果の例
「サンアーク スパッタカウンター」によるスパッタ計数結果の例

 溶接時に発生するスパッタは、製品に付着すると除去の追加作業が生じ、付着部位によっては欠陥・部品不良を生じる。シールドガスおよび溶接条件を選定・調整する際に、スパッタ発生量を容易に評価できる手法が求められていたが、スパッタ計数は、従来、捕集箱による手法で行われており、多大な手間と工数がかかっていた。この課題の解決を目的に溶接カメラの動画から容易に計数可能なシステムを開発した。

装置の特徴

  1. わかりやすい結果表示:撮影した溶接の動画と同時にスパッタ計数値をグラフ表示することができ、瞬時値、最大、最小、平均や累計値も表示可能。また、スパッタ計数値が時間推移で表示できるため、どこの個所(スタート位置等)のスパッタが多いのか明確になる。
  2. 解析結果の保存,転送が可能:保存した解析結果は一覧で表示でき、選択した二つのデータを容易に比較できる。また、各結果をCSVファイルで出力することができるため、データの活用も可能。
  3. 優れた操作性:リアルタイムに計数値をグラフ表示することができると共に、画面上で計測範囲が設定できる(トリミング機能)。さらに、閾値を超えた場合にアラートを設定することが出来る(警報機能)。
「サンアーク スパッタカウンター」によるスパッタ計数手法
「サンアーク スパッタカウンター」によるスパッタ計数手法

活用方法

 以下の観察ができるため、スパッタ低減による高品質溶接への改善が容易になる。

  1. 溶接機、ワイヤ、シールドガスの切り替えによるスパッタへの影響
  2. 溶接条件の変更によるスパッタへの影響
  3. その他条件比較による、日々の生産におけるスパッタ発生量の変化
  4. スパッタの発生場所や発生時点(スタート、本溶接の各部位、クレータ)の明確化