エア・ウォーターと中国電力、バイオマス混焼発電所からの回収CO2の利活用で共同検討
液化炭酸ガスやドライアイス製造に加え、将来的に低炭素水素との合成による「e-メタン」製造の検討
中国電力とエア・ウォーターは2025年9月10日、バイオマス混焼発電所から回収したCO2の利活用に関する共同検討(以下「本検討」)の実施について合意した。中国電力グループのエネルギア・パワー山口株式会社が運営する防府バイオマス発電所(山口県防府市、バイオマス・石炭混焼発電、定格出力:11.2万kW)への導入に向けた設計・検討を進めているCCS※1設備(以下「BECCS設備※2」)で回収したCO2の一部について、エア・ウォーターが、産業ガス事業で培ってきた知見を生かして利活用することを目指す。回収したCO2を原料とする液化炭酸ガスおよびドライアイスの製造に係る検討に加え、将来的には、低炭素水素との合成によるe-methane※3(以下「e-メタン」)製造などについても、検討する。

現在、液化炭酸ガスやドライアイスの大半は、化石燃料を使用する製油所や化学コンビナートなどで発生したCO2から製造されており、バイオマス燃料から発生したCO2を利活用することで、環境負荷の更なる低減が期待できる。BECCS設備を用いたCO2回収・貯留は、カーボンネガティブ※4に資する取り組みの一つであることに加え、回収したCO2の利活用は、需給がひっ迫する液化炭酸ガス・ドライアイスの安定供給にもつながるものであり、カーボンリサイクル環境の醸成を通じて地域の発展に寄与する。
※1 Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素(CO2)の回収・貯留
※2 BECCSとはBioenergy with Carbon dioxide Capture and Storage の略であり、バイオマスの燃焼により発生したCO2を回収・貯留することにより、大気中のCO2を削減するネガティブエミッション技術のこと。中国電力は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構から受託した「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務に伴い、防府バイオマス発電所での導入に向けてBECCS設備の設計・検討を行っている。
※3 再生可能エネルギー等から製造した低炭素水素とCO2を化学反応(メタネーション)させて製造する都市ガスの主成分。燃焼しても大気中のCO2は増加しない、カーボンニュートラルなエネルギーとされている。
※4 実質的にCO2排出量をマイナスにする技術
エネルギア・パワー山口株式会社の概要
社名 | エネルギア・パワー山口株式会社 |
代表者名 | 河本 修一 |
資本金 | 20億円(中国電力株式会社100%) |
設立日 | 2015年2月26日 |
防府バイオマス発電所の概要
発電所名 | 防府バイオマス発電所 |
発電出力 | 112,000kW(発電端) |
発電所所在地 | 山口県防府市鐘紡町3番1号 |
運転開始日 | 2019年7月21日 |
使用燃料 | 木質系バイオマス・石炭の混焼発電 |
施工者 | 住友重機械工業株式会社 |
