「第19回 イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京」を開催

脱炭素を取り巻く環境は大きく変化も、水素社会実現に向け力強く前進

 岩谷産業は2026年3月4日、東京都千代田区の東京国際フォーラム「ホールB7」で「第19回 イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京」を開催した。テーマは「変化する事業環境と水素の社会実装に向けた挑戦」。本フォーラムは水素エネルギー普及の気運を盛り上げ、ネットワークづくりの“場”を提供することを目的に、2006年から開催されているもので今年で20年目を迎える。

 プログラムでは、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長の小林大和氏より「水素等を巡る最近の動きについて」の来賓挨拶の後、アドバンテッジパートナーズ パートナー再生可能エネルギー・サステナビリティ投資責任者の鈴木圭一氏から「水素ファンドの取り組みとグローバル水素事業の最新動向」、九州大学 副学長・水素エネルギー国際研究センター長の佐々木一成氏から「水素エネルギー社会に向けた現状と展望」、三菱重工業 エナジードメイン GTCC事業部ガスタービン技術部 技監・技師長の谷村 聡氏から「水素ガスタービンの社会実装に向けた取組み」、東京都産業労働局 新エネルギー推進担当部長の服部勇樹氏から「水素エネルギーの普及拡大に向けた東京都の取組について」の4つの特別講演が行われ、関係各界から652名が来場した。

第19回 イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京
第19回 イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京

 岩谷産業の間島寬 代表取締役社長執行役員は、開会の辞で「脱炭素化を取り巻く世界的な情勢は、インフレによる事業コストの高騰や、エネルギー安全保障の観点から一部では化石燃料への回帰が見られるなど、大きく変化しています。米国のパリ協定からの離脱、温室効果ガス排出削減目標の撤廃などの見直しが進み、クリーンエネルギーから化石燃料を中心とする雰囲気も見られている」としながらも、「一方で、欧州では各国の支援制度のもと、欧州域内を結ぶ水素パイプラインの検討など、脱炭素関連プロジェクトが着実に進展している。日本でも2024年に施行された「水素社会推進法」に基づき、低炭素水素などの供給利用を早期に促進するための支援措置として、価格差に着目した支援制度が創設され、昨年12月までに水素およびアンモニア関連で4件のプロジェクトが認定されました。また、国内の水素インフラの整備を支援する拠点整備支援も進められており、着実に社会実装の基盤が整いつつあります。加えて、昨年5月には水素モビリティ導入促進の観点から、トラックなどの燃料電池商用車の重要が見込まれる地域として東京都を含む6つの自治体が重点地域に選ばれ、需要創出に向けた取り組みが現在進められており、これらの制度により、日本における水素エネルギー社会の実現は確実に前進していると考えています」と述べ、「脱炭素を取り巻く環境が大きく変化するなか、水素社会実現に向けて力強く前進していくためには、産官学の連携が不可欠です。岩谷産業としては、本フォーラムが新たな協業と挑戦の起点となり、水素社会実現への歩みが加速することを心より期待をします」と挨拶した。

岩谷産業 間島寬 代表取締役社長
岩谷産業 間島寬 代表取締役社長執行役員

 岩谷産業は、水素を「つくる・はこぶ・つかう」というバリューチェーン全体で事業を展開し、脱炭素社会の実現に貢献する様々なプロジェクトを推進している。
 「つくる」の分野ではコスモ石油千葉製油所での液化水素の第4プラントや、川崎臨海部での圧縮水素プラントの建設を進め、将来の需要拡大を見据えた供給体制を強化。また、豊田通商と共同で取り組む再生可能エネルギー由来の電力を活用した低炭素水素の製造事業では、2025年に政府の価格差支援制度の認可を受け、愛知製鋼の加熱炉の一部のエネルギー源を都市ガスから水素に切り替え、年間約1600トンの水素を製造・供給する準備を進める。
 「はこぶ」の分野では、川崎重工業との合弁事業である日本水素エネルギーを通じ、船舶による水素の大規模輸入を計画、昨年11月に起工式を行い、川崎地区で大規模な輸入基地の建設と大型の液化水素船の建造をスタートした。また、国内での水素流通供給体制の強化に注力し、低温機器・設備を製造するグループ会社の新工場建設や、物流会社によるトレーラー投資など、グループ全体で安定供給に向けた体制整備を進める。
 「つかう」の分野では、今後需要拡大が見込まれるトラック・バスなど商用車向けの水素ステーションをコスモエネルギーと連携して建設し、東京の平和島と有明で稼働を開始。3か所目のステーションを現在建設中で、2027年度の開所を予定する。2025年の大阪・関西万博では、水素燃料電池船「まほろば」を運航し、身近なエネルギーとしての水素を来場者に提供。現在は東京都と連携し、来年度からの東京港での「まほろば」の運航開始を目指す。

 イワタニ水素エネルギーフォーラムは、2026年3月24日(火)に大阪での開催も予定されている。(岩谷産業ウェブサイトより、事前申込が必要)