大陽日酸、パッケージ型水素ステーション「ハイドロ シャトル/Hydro Shuttle」開発
大陽日酸は、70MPa の水素ガスを燃料電池自動車へ供給する、低コスト・コンパクトなパッケージ型水素ステーションを開発した。
走行時に CO2 を全く排出しない次世代自動車として、電気自動車(EV)とともに燃料電池自動車(FCV)が注目されている。この FCV へ燃料となる水素ガスを供給するのが水素ステーションと呼ばれる設備。2015 年から FCV 一般販売を自動車メーカーが計画しており、水素ステーションのインフラ整備が急務となっている。国内において、2013 年度から3年間で全国の4大都市圏に 100 か所程度の水素ステーションを新設する計画が推進されており、普及を加速化するためには水素ステーションのコストダウンが大きな課題となっている。
大陽日酸は、水素ステーションを構成する4つの主要機器であるディスペンサー、プレクール装置、水素圧縮機、水素蓄圧器を一体型ユニットにして、製作コストの低減ならびに現地設置工事費の大幅な削減を達成した。さらに独自開発したディスペンサーやプレクール装置(-40℃対応)は低コスト・コンパクト化を実現し、水素圧縮機にはエア駆動ブースター方式を採用し、水素蓄圧器(255ℓ、93MPa)にはタイプⅣの複合容器(プラスチックライナー容器の全周に炭素繊維を巻きつけ強度を持たせたもの)を選定し、各機器自体の低コスト化も同時に実施し、従来型の約1/2のコストダウンを実現した。
このパッケージ型水素ステーションの大きさは、長さ約7m×幅約2m×高さ約 2.6mで、水素供給能力は最大 300Nm3/h 、水素充填速度5㎏/3min で 70MPa 仕様の FCVに連続3台の充填が可能となる。
また高圧ガス保安法の一般高圧ガス保安規則第6条、第7条の3、第8条のオンサイト式、オフサイト式、移動式の全てに対応できる共通設計とし、標準化と量産効果により、さらなる低コスト化にも目途をつけた。なお、気密性を重視した溶接施工やスリーブナット方式の継手を採用し安全性を向上させるとともにメンテナンス性も考慮した設計によって定期自主検査工程の大幅な短縮も可能となる。
大陽日酸は、国内の多くの水素ステーションに納入実績があり、今後もその技術をさらに向上させるとともに、パッケージ型水素ステーションを中心に拡販を目指し、FCV および水素ステーションの普及に貢献する。