エア・ウォーターが次世代型水素ガス発生装置「VHR」を開発
エア・ウォーターは世界最高水準の効率で都市ガスから水素ガスを発生させることができる次世代型水素ガス発生装置「VHR」を開発し、2019 年 5 月から初号機の商業運転を開始する。
工業用水素ガスの製造方法としては、アンモニアや苛性ソーダ、石油化学、製鉄などの大規模工場で副次的に発生する水素を精製する方法と、都市ガスやメタノールを水蒸気改質して水素ガスを発生させる方法がある。
同社では、都市ガス由来の水素ガス発生装置として、2006 年に熱中和型改質触媒を用いた水素ガス発生装置「VH」を開発。それ以降、本装置を顧客工場に設置し、パイピングによるオンサイトガス供給を行うとともに、バックアップ供給も含めたガストータルシステムを提案し、水素ガスの安定供給を担っている。
光ファイバー、鉄鋼、半導体などで消費される底堅い工業用水素ガス需要を踏まえ、 エア・ウォーター総合開発研究所においてランニングコスト・環境負荷を低減した全く新しい次世代型の水素ガス発生装置「VHR」を開発したもの。
独自に開発した改質器を採用することで、均一かつ高効率な改質反応が可能になるとともに、熱回収プロセスの最適化を行い、装置内で発生する熱の利用効率を極限まで高めた。更に「VH」で多くの実績がある水素精製技術 であるPVSA(Pressure Vacuum SwingAdsorption)方式(真空再生型圧力変動吸着方式 )を組み合わせた結果、高効率で水素ガスを発生させる技術を確立した。~99.999%の水素を100~400N㎥/hで発生する。
世界最高水準の水素ガス発生効率を実現したことで、現行機の「VH」と比較して、都市ガスの消費量を6%削減し、装置の運転にかかる電力削減効果もあわせて10%のCO2排出量削減を達成。また、都市ガス、電力の削減効果に加え、従来使用していた酸素添加が不要になったことでランニングコストを約25%削減でき、高いコスト優位性を有する。
2019年5月から兵庫県尼崎市内で初号機の商用運転を開始するほか、2 号機、3 号機の受注も決定している。今後、開発した「VHR」の活用を通じて水素ガスのさらなる販売、および省エネによる環境貢献に取り組む。