岩谷産業、高い放熱性能を持つ「ロータス金属」の量産化。ロータス社と共同開発

 岩谷産業と株式会社ロータス・サーマル・ソリューション(本社:大阪、社長:井手拓哉、資本金:5,800 万円、以下ロータス社)は、高い放熱性能を持つ「ロータス金属(多孔質構造の金属)」の量産化に向けて、神戸にあるロータス社の開発拠点を岩谷産業の中央研究所内に移し、量産技術の確立に向けて共同研究開発をスタートした。

 ロータス社は大阪大学発のベンチャー企業で、銅をはじめとする溶融金属に水素ガスを溶解させ、特殊な方法で冷却することで、多数の微細な細孔を持つ金属(「ロータス金属」と呼ぶ)を鋳造する技術を持っている。ロータス金属とは、断面は細孔がパイプ状に連通している構造であり、表面積を大きくすることができ極めて高い冷却性能や放熱性能を持つ素材。

 岩谷産業では 2016 年 7 月よりロータス社に出資を行っており(岩谷産業の出資比率 7.4%)、ロータス金属の類い稀な特徴を生かした用途開発に向けて、様々な分野で市場調査を行ってきた。

ロータス金属:一方向に伸びた無数の気孔を有する
ロータス金属:一方向に伸びた無数の気孔を有する
ロータス金属の実用化が検討される3 つの分野
  1. スパコンや大型サーバー等に使用されている高性能 CPU の冷却
    • データ処理量の上昇にともない CPU のクロック数が飛躍的に増加しており、CPU の冷却効率が能力向上における一つの課題となっている。ロータス金属を用いた冷却器を使用することで、従来の冷却器と比べ容積比で 80%以上の省スペース化が可能。
  2. 冷却水を必要とする産業機械の冷却
    • ロータス金属の冷却器を用いることで空冷でも対応が可能になり、冷却水が不要になるなどの効果がある。
  3. EV(電気自動車)の車載用インバーターの冷却
    • 自動車の電子化・電動化により、高性能の半導体チップや大きな電力を扱うバッテリー・電気回路が搭載されるようになり、コンパクトな冷却器として注目される。

 今後、岩谷産業とロータス社では、中央研究所の技術ノウハウを活かして、大量生産や品質保持を可能にする生産プロセスの検証など、より実質的な実証を行い実用化につなげていく。

(左)ロータス金属を用いた冷却ファン (右)アルミフィンを用いた従来の冷却ファン
(左)ロータス金属を用いた冷却ファン (右)アルミフィンを用いた従来の冷却ファン
■株式会社ロータス・サーマル・ソリューション概要
  • 本社 :大阪府大阪市北区梅田 1 丁目 1-3-267
  • 代表者:代表取締役社長 井手 拓哉
  • 設立 :2016 年 1 月
  • 資本金:5,800 万円
  • 従業員:15 名