東邦アセチレン 2020年3月期連結決算
東邦アセチレンの2020年3月期連結決算は、売上高335億6100万円(前年同期比8.2%減)、営業利益15億2300万円(同8.4%減)、経常利益16億1400万円(同10.2%減)、親会社株主に帰属する純利益は9億2300万円(同16.2%減)だった。年間配当金は45円を維持した。
特別損失として2019年10月に発生した台風19号に起因する災害による損失4700万円を含む7600万円を計上、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ1億7800万円減少した。
セグメント別概況
【ガス関連事業】
売上高は187億9200万円と前連結会計年度に比べ8億2700万円(4.2%)の減少となったが、営業利益は17億3100万円と前連結会計年度に比べ6700万円(4.1%)の増加となった。
溶解アセチレンは圧接業及び解体業の不振が長期化し需要の減少はあるものの販売価格の見直しにより、窒素は半導体・エレクトロニクス向けの需要の増加により売上高は増加となった。一方で、酸素は電炉・鉄鋼向けの需要の減少により、液化石油ガス及び石油類は輸入価格の下落及び暖冬の影響により売上高は減少となった。
利益面では、セパレートガスは多賀城工場の稼働状況が維持されたこと、また液化石油ガスは輸入価格の低下傾向が続いたことで原価低減となり営業利益は増加となった。
【器具器材関連事業】
売上高は105億0800万円と前連結会計年度に比べ8億1200万円(7.2%)の減少、営業利益は2億3500万円と前連結会計年度に比べ4100万円(15.1%)の減少となった。
溶接切断器具は大型工作機械の受注が大きく減少したこと、生活関連器具は住宅・工場向けに空調機器やガス消費機器類の出荷が低調であったことに加え消費税増税後の買い控え等の影響、また溶接材料も建設工事・鉄鋼向けの需要が減少したことにより売上高は減少し、営業利益も減少となった。
【自動車機器関連事業】
売上高は25億0200万円と前連結会計年度に比べ11億9300万円(32.3%)の減少、営業利益は6200万円と前連結会計年度に比べ1億2000万円(65.8%)の減少となった。
自動車部品メーカーの国内外の設備稼働状況や感染症拡大の影響から設備投資需要が後退したことにより、売上高は減少し、営業利益も大幅に減少となった。
【その他事業】
売上高は17億5800万円と前連結会計年度に比べ1億7000万円(8.8%)の減少、営業利益は2億2400万円と前連結会計年度に比べ5300万円(19.2%)の減少となった。
製氷・冷凍機械等の受注生産は堅調に推移したものの、大型物件の減少等を受け売上高は減少し、また一部の納入先への追加工事等の費用が発生したことにより営業利益も減少となった。
今後の見通し
全般的な見通しは、地域総人口の継続的な減少が地域購買力の減少を招くこと、また公共事業も減少傾向にあること等に加え、新型コロナウイルスウイルス感染症(以下「感染症」)の拡大の影響を受け、グループの主たる市場である東北・北海道地域の経済は、人やモノの動きの遮断から経済活動が抑制され、個人消費の急速な減速が見られる。景気は大幅に下押しされ、事業環境はこれまで以上に厳しい状況が続くものと思われる。
グループのガス関連事業は、成長戦略に掲げる「中核事業として新たな高み、次のステージを目指す」を目標として市場の深耕と開発に積極的に取り組むが、一定の成果を得るまでに今少し時間がかかると予想。特に、エネルギー関連の液化石油ガス・灯油等石油製品の分野では、感染症による原油マーケットの低迷に伴う直近の価格の下落が見られている。
また、食品用ガスの分野においても感染症拡大の影響に加え、東京オリンピック・パラリンピック開催の延期も重なり飲食等の消費の落ち込みなど販売数量の減少の可能性がある。
自動車機器関連事業は、感染症拡大による自動車業界の事業環境の悪化で投資は抑制方向に向かうなど、グループの主要客先である自動車部品メーカーの需要減の可能性がある。
今期のグループ通期連結業績は2019年度の業績を維持することを目標として、売上高345億円(前期比2.8%増)、営業利益17億円(同11.6%増)、経常利益18億円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10億円(同8.3%増)とした。年間配当予想は45円を維持。
ただし、感染症拡大による影響度合いが極めて不透明な現状下、合理的な影響額の算定が困難で、その影響を織り込んでいないとして、感染症拡大の収束状況次第では想定より業績が悪化する可能性がある。
東邦アセチレングループでは、テレワークの推進、受渡しチームのローテーション体制化等により感染症拡大がオペレーションに与える影響を抑制するとともに、東北各県をはじめとする各地に事業拠点が分散する強みを生かしながら、グループ全体としての総合力を発揮、感染症による経済減退が業績に与える影響を最小化し、経営方針に掲げる「安定供給」、「安定収益」による「安定」した経営を継続する。