ミサワ医科工業が本社工場を移転新築、日本製注射針を増産
エア・ウォーターグループで注射針の製造・販売を行うミサワ医科工業株式会社(以下:ミサワ医科工業)は、茨城県笠間市に本社工場を移転新設し生産設備を増強、6月15日から稼働を開始する。
エア・ウォーターグループは2007年に注射針の研磨専業会社の斎藤医科工業株式会社を子会社化し、注射針事業に参入した。2016年、注射針の原材料であるパイプ加工や製品化技術を持つミサワ医科工業を子会社化し、2018年には同社と斎藤医科工業が合併することで、パイプから最終製品まで一貫生産体制を構築、注射針事業のさらなる強化を図った。また、2017年には医療機器・器具卸で主に医療用注射針の輸出を手掛ける松岡メディテック株式会社を子会社化し、製造から販売までの総合的な事業展開を推進している。
グループの注射針事業は、長年の実績により培った独自の研磨および表面コーティング技術による品質性能に加え、多品種小ロットにも対応できる生産体制が強み。また、注射針の提供分野は医療、歯科、美容、動物用と多岐にわたり、国内はもとより海外市場に向けた事業展開を強化し、世界80カ国を超える顧客に利用されるなど、総合注射針企業を目指して事業の拡大に取り組んでいる。
注射針の市場規模は世界で4000億円(2020年度予想)に達し、年平均7%の成長が続いているとされる※。特に近年、ASEANや南米諸国における生活水準の向上や高齢化の進展に伴い、感染症予防のワクチン接種、糖尿病や人工透析等の治療などに使う注射針のニーズとその安全性に対する意識が高まるとともに、研磨・加工技術に優れた高品質な日本製注射針の海外需要が増加しており、今後も成長拡大が見込まれる。
※Technavio社発行「Global Hypodermic needles market(皮下注射針の世界市場)」調べ
ミサワ医科工業では本社工場を茨城県笠間市旭町から、同市長兎路(ながとろ)の茨城中央工業団地(笠間地区)内に移転して新設。歯科用、美容用針生産設備をさらに増設し、清浄度の高いクリーンルーム2部屋を備えた高度医療向け注射針製造設備を拡充するとともに、既存工場とのさらなる連携強化を図る。これにより、ミサワ医科工業の3工場における生産能力を従来の年間19億本から30億本に増強する。海外における日本製注射針の需要拡大に対応し、顧客ニーズに合わせたより高機能・高品質な製品を効率的に提供できる生産・開発体制の構築に取り組む。
ミサワ医科工業 新本社工場 概要
- 所在地: 茨城県笠間市長兎路1320番地5
- 面積: 敷地2万2000㎡、建屋3947㎡
- 階数: 1階、鉄骨造
- 生産品目: 皮下注射針、歯科用針、美容用針
- 生産能力: 年間19億本
- 導入設備:
- 針組立機(歯科用、美容用)
- クリーンルーム2部屋(組立工程:クラス10,000 835㎡、成形工程:クラス100,000 647㎡)
- EOG(酸化エチレンガス)滅菌装置
- 投資額: 19億円
- 従業員数: 98名
- 工場長: 野口 吉昭(のぐち よしあき)
- 稼働開始: 2020年6月15日(月)
ミサワ医科工業の概要
- 設立 : 1964年5月
- 本社 : 茨城県笠間市長兎路1320番地5(2020年6月15日に移転)
- 資本金 : 2500万円
- 代表者 : 代表取締役社長 馬場 秀運(ばば ひでかず)
- 工場 : 本社工場、いわき工場(福島県いわき市)、斎藤工場(栃木県大田原市)
- 生産能力 : 年間30億本
- 売上高 : 39億円(2019年度)
- 従業員数 : 272名(2020年3月末現在)
- 株主 : エア・ウォーター(株)100%
〈参考〉エア・ウォーターグループの医療関連事業について
高度化する先端医療の現場である最新の病院設備、医療用ガス供給、病院内の物品物流管理や医療器具の洗浄・滅菌等の病院業務のアウトソーシング受託、設備機器のメンテナンス業務といった高度医療分野から、デンタルや衛生材料、注射針といった地域のクリニックや在宅医療などのくらしの医療に至るまで、多岐にわたる製品・サービスを提供。2019年度売上収益は1879億円で、グループの売上収益(8091億円)の23.4%を占める。※詳しくは右記URLを参照。https://www.awi.co.jp/business/medical/