岡谷酸素「食品添加物アルゴン」の製造・販売開始

地元ワイン業者の酸化防止用など、用途拡大

 岡谷酸素は、今年3月にアルゴンガスの食品営業許可(添加物製造業)を取得し、6月に生産を開始、23日から正式に販売を開始したことを発表した。国内で製造許可を取得した食品添加物アルゴンの製造は、日本で初の事例としている。各種ガスの食品添加物を長年製造してきたノウハウを活かし、500Lと7000Lの2種類(純度99%以上)をラインナップする。

 2019年6月の食品衛生法の改正に伴い、食品添加物としてアルゴンが追加され、日本でもアルゴンガスを食品に利用することができるようになった。現在はワイン業界向けに海外メーカーから輸入した使い捨てカートリッジタイプのアルゴンガス商品が、大手通販サイトなどで取り扱いが広がっている。

 アルゴンガスは、窒素ガスより優れた酸化防止効果があり、ボトルを開けたワインでも品質を長く保つことができる。諸外国では1990年代から、ジュースやワインなどの酸化防止に広く使用され、高級ワインの品質保持に愛好家の間で話題となっていた。国内では昨年6月までは食品添加物として認められておらず、窒素ガスなどで代用されていた。

 岡谷酸素では、地場のワイン業界に向けに大容量・安価なガス供給を実現したとし、ワイン貯蔵タンクヘッドスペースのガス置換に窒素ガスや窒素と炭酸ガスとの混合ガスによるガスシールの代わりに、窒素より重いためによりガスシール性の高いアルゴンガスを使用することでワインの酸化防止に大きな効果が期待されるとしている。

 近年、家庭内や販売店での食品廃棄ロス削減の観点から、食品包装内の空気を窒素や二酸化炭素へ置換する「ガス置換包装(MAP)」が注目されており、今後、食品業務用途でのアルゴンガス利用は、様々な用途拡大が期待される。