ブラザー工業と巴商会、横浜国立大学が福島県浪江町から水素柱上パイプラインの実証事業を受託
上空にパイプラインを敷設して低圧水素を輸送
ブラザー工業株式会社(社長:佐々木一郎、以下ブラザー)は、株式会社巴商会と国立大学法人横浜国立大学とともに、福島県浪江町における水素エネルギー活用促進に向けた水素柱上パイプライン輸送実証事業を福島県浪江町より受託し、契約を締結した。
ブラザーでは、2018年より水素を燃料とする燃料電池の開発に取り組んでいる。今回、燃料電池を開発する企業としての知見を生かしながら、巴商会と横浜国立大学とともに3者共同企業体として本実証事業を推進し、水素柱上パイプラインのシステム提案を行う。
水素柱上パイプラインは、水素を安全かつ安価に輸送するための最適なしくみとして考えられた。上空にパイプラインを敷設して低圧の水素を送ることで、災害等で配管が破断した際も、空気より軽い水素は生活圏より上で拡散されるため、爆発に至る可能性は低く、人や生活に影響が及ぶリスクは低いとされている。また、地中に配管することを考えた場合、配管が破断した際に水素の漏出を感知するための付臭が必要となるが、水素柱上パイプラインにはその必要もない上、安価に輸送インフラを構築できるとしている。
本実証事業では、旧浪江中学校の敷地を使用し、全長400mのパイプラインを地上約5メートルに敷設して、ブラザーの燃料電池を使って発電安定性確認とリスクアセスメントを実施することにより、安定稼働と安全対策に必要な情報を得ることが目的で、それを元に今後の実使用に向けた法的な観点での課題検討まで行われる予定。
浪江町では、震災復興計画の一つとして、新規産業を創出するためのRE100産業団地の実現に向けた計画があり、浪江町内で作られた地産水素を水素柱上パイプラインで輸送し、燃料電池に供給することを視野に入れる。RE100は、事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを目標に挙げる企業が加盟する、国際的な取り組み。具体的には、化石燃料や原子力に頼らない発電を目指している。