エア・ウォーターが国内初の小規模LNG供給設備「マイクロサテライト」を開発

重油からLNGへの燃料転換を推し進め、CO2 排出削減に貢献

 エア・ウォーターは、脱炭素化の流れを受けてCO2 排出削減に取り組む事業者が増加することを踏まえ、工場等の燃料転換をサポートする小規模なLNG 供給設備※「マイクロサテライト」を国内で初めて開発し、販売を開始した。

マイクロサテライト初号機(Type L)
マイクロサテライト初号機(Type L)

 同社は、環境にやさしいエネルギーとして、液化天然ガス(LNG)に早くから注目し、1999 年よりLNG供給事業を行っている。また、空気から-196℃の液体窒素や-183℃の液体酸素を分離・精製する産業ガス分野で培ったノウハウや技術を活かし、LNG 輸送機器や供給設備のエンジニアリングサービスを展開し、LNG の普及に貢献する。特に、LNG タンクコンテナ・ローリーなどの関連輸送機器では国内トップシェアを有する。

 昨今の世界的な脱炭素社会への移行を受けて、工場等のエネルギーを重油や灯油から、環境負荷のより低いガス体エネルギーであるLNG やLPG へ切り替える燃料転換が進んでおり、特にLNG は環境負荷低減の潮流から世界的にますます需要が高まると予想される。

 エア・ウォーターは、2019 年に従来の1/5 にまで省スペース化したLNG 供給設備「Vサテライト」を開発し、LNG を年間800~1,500 トン程度使用する工場向けに燃料転換の提案を進めている。しかしながら、ボイラー設備を持つ中小規模の食品工場や熱処理工場などでは、設置スペースや導入コストの観点から、依然として燃料油を使うケースが多く、ガス体エネルギーへの切り替え余地が残されていた。

 今回、LNG の使用量が年間 300~800 トン規模の工場であっても、LNG へ燃料転換することができるよう、より小型の供給設備「マイクロサテライト」を開発。「Vサテライト」と同様、有資格者の保安係員を選任する必要がなく、さらに貯槽タンクや気化器をユニット化することで、コンパクト化を図った。これまで、さまざまな事情から LNG 化を断念していたユーザーを中心に、本供給設備を利用したLNG供給からメンテナンスに至るまで一括したサービスを提案し、国内における LNG 利用の普及促進に取り組む。

 すでに、初号機を北海道石狩市のエア・ウォーターグループの事業所に設置し、今年12 月よりデモ運転を開始した。導入を検討する顧客向けに、本供給設備の機能を実際に体験することができる場を提供する。

※パイプラインが敷設されていない遠隔地でもLNG を利用できるよう、ローリーなどで輸送されたLNG を貯蔵・気化して送出する設備。各地のLNG 受入基地から二次受入を行う供給基地であり、サテライト(衛星)のように点在して設置されるため、サテライト設備と呼ばれる。

「マイクロサテライト」の特長

  1. LNG タンク、気化器、運転監視盤をユニット化したコンパクト設計により、従来の燃料油の貯槽・供給設備とほぼ同等スペースでの設置が可能。さらにユニット化により現地施工期間が短くなり設備据付コストの削減を実現
  2. タンクに計量器を搭載したことで、現地でLNG の受け入れ分を計量することが可能(LNGタンクローリーの積み荷を1車まるごと受け入れる方式から、分割して受け入れる方式に対応可能)
  3. LNG貯槽の液面・残量を遠隔監視することで担当者の発注漏れを防止。また、供給設備の状態を24時間監視しており、不具合が発生した場合に自動でメール発報させることで緊急時に即時対応が可能
  4. 簡単な開放検査で済む温水気化器を採用することにより、メンテナンス期間・コストを大幅に削減。また、地域ごとにメンテナンス・サービス体制が整っており、ご要望に合わせた対応が可能

マイクロサテライトの仕様

タイプType LType M
イメージType LType M
本体寸法(幅×奥×高さ)6.0×2.5×5.1 m7.0×2.4×2.8 m
タンク(LNG)容量12,000L7,000L
設置スペース(幅×奥)2.5×6.0m2.8×7.0m
工期(基礎工事期間除く)設置1日、接続2日設置1日、接続2日
耐震基礎必要不要
保安検査等定期自主検査のみ定期自主検査のみ
保安係員の選任不要不要

参考

 エア・ウォーターグループは、国連サミットで採択された2030 年までの持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みを進めている。今回の取り組みは、次の開発目標に該当する。⑧働きがいも 経済成長も、⑬気候変動に 具体的な対策を。