アエラスバイオが歯髄再生治療の対象疾患を拡大、年齢制限を7歳以上に引き下げ
市中3歯科医院(愛知・大阪・福岡)で治療を開始
エア・ウォーターのグループ会社で、歯髄関連事業を企画・推進するアエラスバイオと同社が提携する「R D 歯科クリニック(院長:中島 美砂子 所在地:神戸市)」は2021 年7 月、厚生労働大臣の認定を受けた特定認定再生医療等委員会の審査を経て、厚生労働省に新たな届出を行い、「歯髄再生治療」の適応症例の拡大を認められた。
具体的には、既に抜髄治療済みの歯(根管治療後の歯)についても歯髄再生治療が可能となったほか、治療対象となる患者の年齢制限を20 歳以上から7歳以上に引き下げた。また、この適応拡大した条件下で、市中の歯科医院においても歯髄再生治療の普及が進み、2021 年8 月には、愛知・大阪・福岡の3 医院にて治療が開始された。
今後は、歯髄再生治療を受けることができる市中の歯科医院を全国に拡大する。また、現時点では、自分の不用歯から採取した幹細胞による治療となるが、次の段階として、他人(主として近親者)の歯から採取した幹細胞による治療の実現を目指す。
歯髄再生治療の適応拡大
① 抜髄治療後の患歯が対象に
2020 年に開始した歯髄再生治療は、自らの不用歯から歯髄を採取し、その中に含まれる歯髄幹細胞を培養増殖し、虫歯(不可逆性歯髄炎など)で神経を喪失した歯に移植することにより歯髄を再生するものだった。今回、厚生労働省に提出した新たな再生医療等提供計画が受理されたことにより、過去に抜髄治療を行った歯(歯の神経の代わりに詰め物が入っている状態)にも、歯髄再生治療の適応が認められた。対象患者数は国内に約3,000 万人いると推定される。
② 7 才以上の患者※が対象に
これまで、20 歳以上だったが、研究結果を踏まえ、治療の安全性が認められたため、新しい届出により7 歳以上に対象年齢が引き下げられた。(※歯を抜く年齢は70 歳未満であること)
市中歯科クリニックへの歯髄再生治療の普及について
アエラスバイオおよび「R D 歯科クリニック」は、歯髄再生治療を開始した2020 年より、国内の歯科クリニックを中心に歯髄再生治療の普及活動を進めてきた。具体的には、歯髄再生治療の実施を希望する歯科医院に向けた歯髄再生治療技術習得のための講習会や治療の開始に向けた厚生労働省への届出等の支援を行っている。
2021 年8 月現在、全国で3歯科医院(愛知・大阪・福岡)の届出が受理され、治療が開始されたほか、さらに 3 歯科医院(東京・大阪・福岡)でも治療の開始に向けて特定認定再生医療等委員会の審査が行われている。
また、将来の歯髄再生治療に備え、矯正により今抜いてしまう歯や不用歯および乳歯の歯髄幹細胞を保管する「アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク」ついても、市中の歯科医院との提携が進んでおり、保管数が増加している。