巴商会など5者、水素を熱源とした脱炭素エネルギーネットワーク「やまなしモデル」技術開発事業を開始
大容量輸送技術手段の確立に向けた次世代カードル・トレーラーを開発など
山梨県、東京電力エナジーパートナー、巴商会、UCC上島珈琲、及び東レは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業(※1)の採択を受け、新たに小規模パッケージ化したP2Gシステムを開発し、電化が困難な産業部門等の脱炭素化を目指す事業を開始した。
(※1)「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発」における「地域モデル構築技術開発事業」(2021年12月採択決定)
P2Gシステムは、再生可能エネルギー等由来の電力を活用し、水を電気分解し水素を製造する技術で、カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大と温室効果ガスの削減において世界的に期待されている。2021年6月からは、山梨県内でP2Gシステムでグリーン水素を製造し、工場やスーパーマーケットで利用する社会実証も行っている。
今回の事業では、2021年度から2025年度までの5年間で、「500kWワンパックPEM(固体高分子)形P2Gシステムを開発し、国内の複数地点に導入」、「水素エネルギーの利用拡大を見据え、大容量輸送技術手段の確立に向けた次世代カードル・トレーラーを開発」、「既存インフラと水素エネルギーを最大限活用した脱炭素グランドマスター工場のモデル化」及び「コーヒーの焙煎など難易度の高い水素利用の技術を通じて、食品加工分野の脱炭素化の推進」に取り組む。
山梨県、東京電力EP、巴商会、UCC及び東レの5者は相互に連携し、山梨県等が進めてきたP2Gシステムの開発成果を、水素を熱源とした脱炭素エネルギーネットワーク「やまなしモデル」として更に発展させ、新たな水素の利用モデルを開拓することにより、化石燃料の利用から水素エネルギーへの転換を推進し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしている。
山梨県笛吹市に「UCC山梨焙煎所」新設、カーボンニュートラルなコーヒー製造
UCC上島珈琲株式会社(本社/神戸市、社長/朝田文彦)は、山梨県笛吹市に「UCC山梨焙煎所」の新設を決定した。これまで培った製造技術を凝縮した高品質・高効率な焙煎所運営を図るとともに、水素を熱源としたコーヒー焙煎を可能にする水素焙煎機の開発や太陽光・水力等の再生可能エネルギーの活用を通じ、「カーボンニュートラルなコーヒー製造(※2)」を目指す。竣工は2024年上期を予定。
(※2) カーボンニュートラルなコーヒー製造:本焙煎所におけるスコープ1、2の温室効果ガス(自社施設の燃料の消費、フロン類の漏洩、社有車の使用に伴う直接排出量及び自社施設で購入した電気・熱の使用に伴う間接排出量)において100%削減を実現すること。
「UCC山梨焙煎所」では、上記の「やまなしモデル」による官民・業界の垣根を越えた連携で、水素を熱源としたコーヒー焙煎を可能にする水素焙煎機の開発や太陽光・水力等の再生可能エネルギーの活用を通じて、2030年に二酸化炭素排出量51%削減(2019年比)、2040年にカーボンニュートラルなコーヒー製造※1を目指す。
- 100%再生可能エネルギーを使用した電力を使用(①)
- 山梨県で主力の水力発電等の再生可能エネルギーを使用した電気購入
- 焙煎所屋根等に太陽光パネルを設置
- 水素焙煎機のテスト機導入、実用化検討(②)
- 水素を燃料とした小型・中型焙煎機を開発、2023年の実用化を目指す
- 水素エネルギー活用に向けたインフラ整備(③)
- 敷地内(オンサイト)で複数のエネルギーが供給可能な体制とし、最適供給体制を検討