岩谷産業中央研究所に陸上養殖の研究設備を導入

JICAの中国科学技術部連携事業が、閉鎖循環型陸上養殖の研究開発事業を採択

 岩谷産業は、陸上養殖分野の事業拡大に向け、同社中央研究所に飼育研究設備を導入した。また、独立行政法人協力国際機構(JICA)の中国科学技術部連携事業(日中連携事業)で、閉鎖循環型陸上養殖についての研究開発事業が採択され、事業を開始した。今後、国内外での同分野における事業展開を強化する。

 陸上養殖は漁業就業者の減少、天然資源の枯渇など、低迷している水産業の課題解決につながるため、今後大きく伸長する分野であると期待されている。そのため、環境負荷が少なく、生産性の高い養殖技術の開発が期待されている。

 岩谷産業は、これまで約30年にわたり、陸上養殖向け酸素ガスや酸素溶解装置の販売実績があり、LPガスや非常用発電機、FRP水槽など、同分野に関する商品ラインアップを有する。直近では、「品種改良技術×スマート養殖技術」を活用したスタートアップであるリージョナルフィッシュ株式会社への出資や、同社などとのバナメイエビ養殖実証試験を実施するなど、同分野への事業拡大を進めている。

 今回、同社中央研究所に閉鎖循環型の飼育研究設備を導入したことで、自社で陸上養殖に関する知見を蓄積することが可能となる。本研究開発で得たノウハウを生かし、同分野への提案力強化につなげる。

 JICAの日中連携事業では、岩谷産業の産業ガスのハンドリング技術を生かして、大連海洋大学と共同で、AI/IoT技術を利用した陸上養殖システムの開発を行っていく。本案件を通じて、中国での陸上養殖事業の生産性向上や産業化に貢献する。

 岩谷産業は長年培ってきたガス技術を活用し、陸上養殖市場の発展に貢献する技術開発やシステム開発を行う。「住みよい地球がイワタニの願いです」を企業スローガンに、食料不足などさまざまな社会問題の解決に向け、事業活動を通じて貢献する。