青果仲卸の丸進青果がエア・ウォーターグループ入り
九州地区の青果物調達網をより強固にし、安定供給体制と加工機能を強化
エア・ウォーターは福岡県の青果仲卸、丸進青果㈱の株式を2023年10月27日付(予定)で譲り受け、同社はグループ入りする。これまで丸進青果はエア・ウォーターの持分法適用会社(グループの出資比率20%)だったが、今回の株式追加取得により連結子会社化(出資比率51%)し、九州地区における中核会社としてアグリ&フーズ(農業・食品関連)事業の拡大を図る。
昨今の国際情勢を背景に食料安全保障や食料自給率の向上が社会課題となる中、国内の青果物市場は生産農家の減少をはじめ、異常気象の常態化、円安による輸入品の高騰等により、青果物の安定供給の重要性が増している。一方、健康志向の高まりや簡便性の高いカット野菜・フルーツの需要が拡大するなど消費者ニーズも著しく変化している。
こうした様々な課題への対応に向けて、エア・ウォーターは2023年2月、青果物の専門商社で加工、仲卸を手掛ける㈱ベジテック(神奈川県川崎市)と資本業務提携を締結、また業務用ホール野菜やカット野菜を販売するデリカフーズホールディングス㈱(東京都足立区)の第三者割当増資を引き受けた。両社との協業体制を構築し、エア・ウォーターグループから両社への北海道産野菜の安定供給や、物流「2024年問題」に備えた原料保管拠点の設置、産地リスク分散のための新規産地開拓などを進めてきた。
今回、丸進青果のグループ入りにより、北海道と九州それぞれの青果物供給における端境期を補完することで通年での安定供給を実現。また、九州を主産地とする白菜などの葉物野菜やトマトなどの果菜の取り扱い強化により、幅広い品目の青果物の供給が可能となる。青果物の加工においては、丸進青果の関連会社㈱ブイエム(福岡県筑前町)と、エア・ウォーターグループで九州産青果物の卸売、加工を手掛けるトミイチ九州㈱(鹿児島県鹿屋市)が連携し、加工機能を強化。さらに、グループが熊本県玉名市に建設中の「熊本低温物流センター」(2024年2月稼働開始予定)とも連携を図り、本州の大消費地向け輸送で課題となる「物流2024年問題」に備えて、原料保管機能や効率的な幹線物流の構築を進める。
エア・ウォーターグループとベジテック、デリカフーズホールディングスは北海道と九州における青果物の調達網をより強固なものとし、その加工・販売までのバリューチェーンと物流ネットワークを併せ持つ「青果流通加工プラットフォーマー」のポジションを確立。持続可能な国内農業の発展に寄与するとともに、産地と食卓をつなぎ、時代に応じた豊かな食文化を創出し、ウェルネス(健やかな暮らし)に貢献する。
株式譲受の経緯、目的
エア・ウォーターのアグリ&フーズ(農業・食品関連)事業は、野菜の調達・加工やハム・デリカ、冷凍食品、スイーツ、野菜・果実系飲料、青果小売など「食」に関わる多彩な事業を展開している。このうちアグリ(農産・加工)事業においては、北海道を中心にこれまで培ってきた青果物の調達から開発・加工、販売までのバリューチェーンの強化・拡大を図るとともに、高圧ガス輸送で培った低温輸送技術と物流ネットワークを活かし、バリューチェーンをつなぐ新たな食品物流事業の創出にも取り組んでいる。
九州地区においては、グループの地域事業会社、エア・ウォーター西日本㈱(当時:九州エア・ウォーター㈱)が2017年1月、同地区での農業・食品事業参入の足掛かりとして、丸進青果の株式10%を取得。2020年1月にはさらに10%を追加取得、計20%を保有し、持分法適用会社としてエア・ウォーターグループとの連携を強化してきた。
その後、2023年2月の㈱ベジテックとの資本業務提携ならびに、デリカフーズホールディングス㈱の第三者割当増資引受を契機として、グループとともに九州地区での農業・食品事業拡大を目指し、エア・ウォーターが丸進青果の株式31%を追加取得することで合意した。合わせて、エア・ウォーター西日本が保有する株式20%を2023年10月27日付(予定)でエア・ウォーターが譲り受け、丸進青果はエア・ウォーターの連結子会社となる。
株式譲受の概要
- 譲受日:2023年10月27日(予定)
- エア・ウォーター出資比率:発行済株式総数の51%
丸進青果株式会社 概要
- 設立:1991年10月(創業:1982年)
- 代表者:代表取締役社長 梅崎 清信
- 本社:福岡県福岡市東区みなと香椎3丁目1番1号422(福岡市中央卸売市場内)
- 資本金:1,500万円
- 売上高:97億円(2023年9月期)
- 従業員数:46名(パート含む、2023年9月30日現在)
- 事業内容:青果物卸売業
- 関連会社:㈱ブイエム(カットフルーツ、カット野菜の製造販売)、㈱まるよし(産地サポート)