INPEXとエア・リキードなど4社、ヒューストン港で大規模低炭素アンモニア事業の共同開発

ATR技術導入で年間160万トン以上のCO2を回収、ASUによる窒素・酸素の生産も

 株式会社INPEXとエア・リキード グループ(以下、エア・リキード)、LSB Industries社(以下、LSB社)及びVopak Moda Houston社(以下、VMH社)の4社は、共同で米国テキサス州ヒューストン港にVMH社が保有する既存アンモニアターミナルを活用した低炭素アンモニア事業の概念設計(pre-FEED)を開始することに合意した。

 4社は、天然ガスを原料として低炭素化水素を製造し、2027年末までに年間110万トン以上の低炭素アンモニアの商業生産を目指して開発を進める予定。また、将来的な設備の拡張も検討する。

 4社は2023年、本事業に関する事業化調査を既に完了しており、テキサス州ヒューストン港をプロジェクト候補地として選定した。ヒューストン港は世界第2位の石油化学産業集積地であり、当該施設の建設候補地は原料ガスや水を供給するパイプラインネットワークの近隣に位置し、ユーティリティ設備へのアクセスが容易な立地にある。

事業概要 

 エア・リキードとINPEXは、低炭素水素製造及び二酸化炭素(CO2)回収を共同で実施する。エア・リキードは自社のAuto Thermal Reforming(ATR)技術[1]とCO2回収技術を導入。両技術を組み合わせることにより、水素製造施設から直接排出されるCO2の内95%以上(年間160万トン以上)を回収、および地下への圧入・貯蔵が出来る見込み。また、エア・リキードは自社の空気分離装置技術[2]を活用して、窒素及び酸素の生産を担う。

[1]自己熱改質(ATR)は、CO2回収技術と組み合わせる事で大規模な低炭素水素・アンモニアの効率的製造プロセスを可能にする方法として利用されている。[2]空気分離装置(ASU)とは、空気を分離し、酸素・窒素などの産業ガスを製品として製造する装置のことで、エア・リキードのASU技術は深冷分離法を用いる。

 INPEX及びLSB社は、低炭素アンモニア製造とアンモニア製造プロセスライセンサー、pre-FEED/FEED及びEPCコントラクターの選定を共同で実施する。生産開始後のアンモニア製造プラントの操業はLSB社が主導して実施予定。また、低炭素アンモニアの需要家との売買契約締結に向け、共同でマーケティング活動を実施する。マーケット対象はアジアを中心とし、欧米市場でも販売を想定。

 INPEXは、低炭素水素及び低炭素アンモニア製造の双方に事業参画し、生産から出荷まで事業全体の最大出資者となる。

 VMH社は、既にヒューストン港内にアンモニア貯蔵施設及びVLGC船が着桟可能なターミナルを所有・操業しており、低炭素アンモニア貯蔵施設を追加建設する計画。

各社の紹介

株式会社INPEX

 日本最大級の石油・ガス開発企業。オペレーターとして参画する豪州・イクシスLNGプロジェクトをはじめ、世界各国で事業に参画する。石油・ガス事業の徹底したクリーン化を図るとともに、エネルギー変革のパイオニアとして、石油、天然ガスに加え、水素・アンモニア、再生可能エネルギーなど多様でクリーンなエネルギーの安定供給を目指し、ネットゼロカーボン社会の実現に向けて取り組む。
 企業ホームページ:https://www.inpex.co.jp

エア・リキード グループ

 産業と健康に技術とサービスで貢献するガス事業の世界的リーダーとして世界73カ国で約67,100人の従業員を擁し、390万以上の顧客と患者にサービスを提供。1902年の創業以来、生命、物質、エネルギーに必要不可欠な酸素、窒素、水素を研究・事業活動の中心としている。
 2025年までの戦略プラン「ADVANCE」により、気候とエネルギー転換、とりわけ水素エネルギーに寄与するソリューションを開発し、医療、デジタル、ハイテク分野に注力。
 企業ホームページ(英語):https://www.airliquide.com

LSB Industries

 米国・オクラホマ州に本社をおく、主に農業、工業、鉱業市場向けの化学製品の製造・販売企業。低炭素およびゼロカーボン製品の生産を通じて、エネルギー転換期においてリーダー的役割を果たすことを目標とし、農業、工業、鉱業、エネルギー事業等に必要不可欠な製品を販売する企業として、良質なCX(顧客体験)を追及する。
 現在、アラバマ州・チェロキー、アーカンソー州・エルドラド、オクラホマ州・プライヤーにおいてアンモニアやアンモニアの加工製品を製造しており、テキサス州・ベイタウンでは主要化学メーカー向けに施設を操業。
 企業ホームページ(英語):https://lsbindustries.com

Vopak Moda Houston

 米国・ヒューストンに本社をおき、ヒューストン港でアンモニア貯蔵およびVLGC船が着桟可能な最新式のターミナル(以下、Vopak Modaターミナル)を所有・操業している企業。Vopak Modaターミナルは、ヒューストン港では十年以上ぶりに未開発地域から新たに建設されたターミナル。Royal VopakとModa Midstreamが共同で所有・開発・操業を実施し、貯蔵事業でグローバルなネットワークと実績を持つRoyal Vopakと、物流インフラで優れた実績を持つModa Midstreamがそれぞれの強みを結集させる。
 また、当該ターミナルは複数企業のアンモニア・水素・窒素のパイプラインに近接しており、パイプラインによって全米最大・世界第2位の規模を誇るヒューストン港の石油化学コンビナートに接続するなど、米国メキシコ湾岸における水素および低炭素アンモニアの主要ハブとして優れた立地。
 企業ホームページ(英語):https://www.modamidstream.com