「水素が変える、未来を一緒に」川崎市でトキコシステムソリューションズがSDGsの取組事例を発表

川崎ブレイブサンダースと川崎SDGsプラットフォーム事務局、川崎市が共催「第9回SDGsフォーラム~企業の事例に学ぶSDGs~」

 岩谷産業グループで流体制御や燃料供給のシステム開発を手がけるトキコシステムソリューションズ(トキコ)は、神奈川県川崎市の川崎フロンティアビルで2025年7月2日に開催された「第9回 SDGsフォーラム~企業の事例に学ぶSDGs~」で、燃料電池自動車の水素ステーション・ディスペンサー装置の水素関連事業や、企業市民としての自社のSDGsへの取組事例を発表した。

「第9回SDGsフォーラム~企業の事例に学ぶSDGs~」
「第9回SDGsフォーラム~企業の事例に学ぶSDGs~」

 このフォーラムはプロバスケットボールチームを運営するDeNA川崎ブレイブサンダースと川崎SDGsプラットフォーム事務局、川崎市が共催したもので、「かわさきSDGsパートナー」の登録・認定事業者や企業のSDGs担当者を対象に、市内企業の具体的なSDGsアクションの促進や取り組みの拡大を目的としている。川崎SDGsプラットフォームは、川崎市が登録・認証したSDGsの達成に取り組む企業・団体の「かわさきSDGsパートナー」を支援し、SDGsに関するセミナーの実施や「かわさきSDGs大賞」の開催、「かわさきSDGsポータルサイト」による情報発信などを行っている。

 川崎市と川崎ブレイブサンダースは2020年に「SDGs推進協定」を締結、バスケットボールを通じた市民の健康づくりやSDGsの啓発を進めており、本フォーラムもその一環となる。「2030 川崎から未来へ~SDGs未来都市 川崎市の取組」と題して講演した川崎市の福田紀彦 市長は、SDGs達成のために持続可能な開発目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」を引用し、多様な得意技を持つ人々が力を合わせることが非常に大切だと述べ、「かわさきSDGsパートナー」が2025年に3446者と2021年の153者から約22倍に増加し、横浜市や相模原市、さいたま市などの近隣都市と比較して、政令市で最大の数となっていることを報告した。

 これに対して、DeNA川崎ブレイブサンダースの川崎渉 社長は、プロバスケットボールチームの川崎ブレイブサンダースが、1950年に東芝小向工場の同好会として誕生したことを紹介し、プロジェクト名「&ONE(アンドワン)」と呼ばれるSDGsへの挑戦として「バスケットボールやホームゲームを通じて、すべての人に『健康』と『働きがい』の機会を提供し、川崎をより『住んで幸せな街』にすること、にコミットする」と説明した。

 「かわさきSDGsパートナー」の認定事業者でもあるトキコからは、開発本部担当本部長の加藤謙介 執行役員が登壇。「水素が変える、未来を一緒に」をテーマに、イワタニグループとしてトキコが水素ステーション・ディスペンサー事業のトータルソリューションをグローバルに展開することで、水素エネルギー社会を実現し、SDGs目標の達成に貢献することをプレゼンテーションした。

トキコシステムソリューションズ開発本部担当本部長 加藤謙介 執行役員

 川崎市川崎区に本社があるトキコは、1937年に東京瓦斯電気工業(株)の計器部門が独立し、東京機器工業(株)として事業を開始。燃料油・薬品・超純水、各種ガス等の「流体」を計測し、制御する技術により、高いシェアを持つガソリンスタンドの計量機から、高精度と安定性が求められる半導体工場や新規領域となる医療、食品までの幅広い分野で計測・制御の設計と施工を行っている。また、災害時のBCP(事業継続計画)対策となる非常用発電設備の提供など、サスティナブル(持続可能)な社会を実現するための取り組みにも力を注ぐ。

 水素エネルギー分野では、いち早く研究開発に取り組み、NEDOプロジェクトに参加するなど様々な企業や団体と協力して研究開発を推進。2022年からは岩谷産業グループの一員として、水素ディスペンサーを核とする水素ステーションの建設からメンテナンスサポートまでのトータルソリューション提案を開始する。同年9月には静岡事業所に水素先端技術センターを開設し、水素の大流量充填試験やダブルノズルの充填試験設備を所有するなど、燃料電池自動車の市場が商用大型トラックやバスへ拡大し、水素ステーションの水素供給能力の増強が求められていることへの対応を進める。

 加藤 執行役員は「水素は利用時にCO2を排出しないことから、2050年にカーボンニュートラルを目標とする日本において、非常に有力なエネルギー源とされています。イワタニグループには、水素を「つくる」、「はこぶ」、 そして「つかう」というそれぞれの事業エリアがありますが、トキコではその中で特に水素を「つかう」ところの水素ステーションや水素ディスペンサー関連のビジネスに注力し、水素の計測・制御関連の技術で製品開発を加速しています。さらに、トータルソリューションとなる水素ステーションの設備エンジニアリングと、水素ディスペンサーの開発・設計・製造、及び水素ステーション設置後のメンテナンスサポートをグローバル展開し、水素エネルギー社会の実現を通じてSDGs目標達成への貢献を実行します」と述べて、トキコのSDGsのへの取り組みを紹介した。

 また、トキコは企業市民としての活動として、静岡事業所がある掛川市内のラッピングバスへの協賛や茶草場農法ボランティア、掛川JFCへの支援など「様々なボランティア活動や地域社会の貢献を進めています。特に、神奈川県の水源の水を守る活動の『神奈川県水源の森林づくり・再生事業パートナー制度』に参画して、約10ヘクタール(東京ドーム2個分相当)の森林に『未来につなぐトキコの森』というネーミングライツを頂戴しました。地域社会との協力を大切にして従業員とともに持続可能な発展を目指します(加藤 執行役員)」としている。