岩谷産業 2026年3月期通期連結決算

2027年3月期予想は、売上高9600億円(5.7%増)、営業利益488億円(27.4%増)、経常利益590億円(6.8%増)、当期純利益455億円(4.5%減)

 岩谷産業の2026年3月期通期連結決算は、売上高9085億2200万円(前年同期比2.9%増)、営業利益383億1800万円(同17.1%減)、経常利益552億2000万円(同10.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益476億6600万円(同17.8%増)となった。LPガスの市況変動やヘリウムの市況軟化による減益影響があったものの、固定資産売却益を計上した結果、当期純利益は増益となった。
 中東情勢が緊迫化する中、LPガスについては多様化した調達ソースを活用するとともに、ヘリウムについては国内外における備蓄設備の利用など、取引先に対しての安定供給に努めた。水素エネルギー社会の実現に向けて、出資する日本水素エネルギーが、川崎重工業と世界最大となる4万㎥型液化水素運搬船の造船契約を締結。引き続き、大量の水素を安定的に供給できる体制構築に向けた取り組みを推進する。また、大林組、小松製作所と共同で、燃料電池を搭載した中型油圧ショベルに関して、日本で初めて工事現場における実証実験を実施した。今後、大容量かつ高速充填が可能な移動式水素充填システムの検討など、実用化に向けた整備を進め、建設現場などにおける水素の利用拡大に貢献する。
 脱炭素戦略では、水素とエチレンの混合溶断ガス「ハイドロカット」に関して、福島水素エネルギー研究フィールドで製造した再生可能エネルギー由来の水素を原料として、福島第一原子力発電所構内の溶接型タンク解体工事に供給。地産地消による水素利用を促進し、製造工程段階の脱炭素化に貢献する。海外戦略では、豪州で買収したコバーン・リソーシーズ社においてミネラルサンドの生産を開始するとともに、出資先であるノルウェーのノルディック・マイニング社でもグリーンチタン鉱石の生産・出荷に向けた準備を進めた。また、フランスのカレマグ社に出資し、レアアースを精錬する工場建設を進めるなど、重要鉱物資源のサプライチェーンの多様化に取り組み、今後も安定した供給体制を構築する。

セグメント別の状況

【総合エネルギー事業】

 LPガス輸入価格が低位で推移したことで減収。利益面では、LPガスの小売部門で収益性が改善したものの、卸売部門では販売数量が減少したことに加え、市況要因(前年度比59億2700万円の減益)により減益。また、エネルギー関連機器は堅調に推移したが、カセットこんろ・ボンベの販売が国内外で低調に推移した。売上高は3,677億3200万円(前年度比110億5000万円の減収)、営業利益は134億9800万円(同60億2100万円の減益)。

【産業ガス・機械事業】

 水素ガスや水素関連設備の販売が増加したことに加え、エアセパレートガスは電子部品・光ファイバー業界向けの販売数量が堅調に推移した。一方で、特殊ガスはヘリウム市況の軟化により収益性が低下し、機械設備については、自動車業界向け設備の出荷が減少。売上高は2,887億3000万円(前年度比172億8000万円の増収)、営業利益は154億1400万円(同21億5800万円の減益)。

【マテリアル事業】

 レアアース等は中国の輸出規制が継続する中、安定供給に努めた結果、販売が伸長。バイオマス燃料や二次電池材料に加え、低環境負荷PET樹脂や食品包装向け樹脂製品の販売が堅調に推移した。また、新規連結の影響によりステンレスの売上が増加。一方で、ミネラルサンド事業は豪州自社鉱区の収益性が低下し、機能性フィルムは販売数量が減少した。売上高は2,183億7700万円(前年度比166億9100万円の増収)、営業利益は116億1300万円(同1億3400万円の減益)。

【その他】

 売上高は336億8100万円(前年度比25億8800万円の増収)、営業利益は35億1700万円(同2億1000万円の増益)。

今後の見通し

 総合エネルギー事業は、重要なエネルギーインフラの一つであるLPガスの安定供給に引き続き努める。また、M&A等によるLPガス直売顧客数の拡大や、物流合理化による収益性の改善を図る。エネルギーの低炭素化に向けて、燃料転換の推進やカーボンオフセットガスの販売に加え、グリーンLPガスの開発を推進。カセットこんろ・ボンベにおいては、新商品開発などを通じて国内外の事業拡大を図る。
 産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスや特殊ガスについて、調達・物流コスト上昇への対応や安定供給体制の整備を強化するとともに、拡大が見込まれる光ファイバー・電子部品業界向けの拡販に注力。また、水素エネルギー社会の実現に向けては、脱炭素に関連した水素やアンモニアの販売強化を図ることに加え、低炭素水素サプライチェーンの事業化を推進する。
 マテリアル事業は、ノルウェー産グリーンチタン鉱石の販売を開始するとともに、リサイクルPET事業を推進。ステンレスでは国内加工拠点を活用し、事業規模の拡大を図る。豪州のミネラルサンド事業は新たに取得した鉱区も含めて安定操業と生産性の向上に努め、欧米、アジアでは、重要鉱物資源の安定確保に向けた取り組みを強化する。
 2027年3月期の通期連結業績見通しは、売上高9600億円(前年同期比5.7%増)、営業利益488億円(同27.4%増)、経常利益590億円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益455億円(同4.5%減)を見込む。年間配当金予想は、1株につき47円(中間、期末ともに23円50銭)の配当を予定。