INPEXが日本水素エネルギー(JSE)へ資本参加
国際液化水素サプライチェーンの構築で、川崎重工、岩谷産業と株主間協定
川崎重工業と岩谷産業、INPEXの3社は株主間協定を締結し、川崎重工と岩谷産業が共同出資する日本水素エネルギー株式会社(原田 英一 代表取締役社長、以下「JSE」)に、INPEXが新たに資本参加することに合意した。
INPEXのJSEへの資本参加のため、川崎重工は保有するJSEの株式をINPEXに一部譲渡する。それに伴い新しい出資比率は、川崎重工:36.6%、岩谷産業:33.4%、INPEX:30.0%となる。(参考①)
世界的に脱炭素化に向けた取り組みが加速する中、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして水素への期待が高まっている。様々な資源から製造できる水素は、国内外の調達先を多角化でき、さらに長期貯蔵や輸送も可能なため、エネルギー安全保障にも資する。
2023 年6月に日本政府が改定した水素基本戦略では、日本の水素導入目標量は、2030 年に最大 300 万トン/年、2040 年に 1200 万トン/年程度、2050 年に 2000 万トン/年程度。水素供給コストは2030年に30円/Nm3、2050年に20 円/Nm3(CIFコスト)の目標が掲げられており、海に囲まれた島国の日本において目標通りに安価な水素を大量かつ安定的に供給するためには、海外からの海上輸送を主とする国際水素サプライチェーンの構築が非常に重要となる。
JSEは国際液化水素サプライチェーンに関する調査・企画・運営・投資などを主目的としており、現在は2021年8月にNEDOのグリーンイノベーション基金事業に採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証」(以下、「商用化実証」、参考②)に取り組んでいる。この商用化実証では、2030年代の商用化に向けた大規模(年間数万トン規模)な水素の液化・輸送技術の確立と、国際液化水素サプライチェーン構築を目指し、日豪間での実証を行う。
INPEXは、日本最大級の総合エネルギー開発企業として、石油・天然ガス・クリーンエネルギーを日本に供給してきた。日本企業として初めてオペレーターとして大規模プラントのLNG事業を推進するなど、20年以上の事業経験を有する。これらの経験と知見は、JSEが商用化実証を進め、国際液化水素サプライチェーンの構築を具体化し、国際競争力を強化するうえで極めて重要なものとなる。
参考②:「液化水素サプライチェーンの商用化実証」
事業期間:2021 年度~2030 年度(予定)
事業概要:https://green-innovation.nedo.go.jp/project/hydrogen-supply-chain/