エア・リキードとENEOSが低炭素な水素の開発促進とエネルギートランジションの実現で協業
海外から日本市場へ、液化水素サプライチェーン構築を検討
エア・リキードとENEOSは、日本における低炭素な水素の開発促進とエネルギートランジションの実現に向け協業していくことで合意し、覚書(MOU)を締結した。
ENEOSは、日本において最大手の石油精製・石油化学会社であり、エネルギーインフラと市場において大きな存在感を示す。一方、産業と健康に技術とサービスで貢献するガス事業の世界的リーダーであるエア・リキードは、水素の製造、液化、輸送、貯蔵、使用から炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)に至るまで、60年以上にわたり、水素に関するバリューチェーン全体の専門知識を持つ。この両社の強みを活かすことが本パートナーシップの重要な意義となる。
本パートナーシップは、低炭素な水素のバリューチェーン全体を対象としている。上流分野では、CCUSや電解技術を用いた低炭素水素の製造開発、および海外から日本市場に向けた液化水素サプライチェーンの構築を検討する。下流分野では、日本における水素ステーションを含めたインフラ網を拡大し、水素モビリティ市場の発展を目指す。さらに、両社は水素サプライチェーンにおける研究開発に関しての協業も検討する。
エア・リキード社 水素エネルギー事業担当バイスプレジデント アルメル・ルヴュー 氏のコメント
「日本のエネルギーにおけるリーディングカンパニーであるENEOSと提携することとなり光栄です。再生可能エネルギー由来の水素を含む、低炭素水素のバリューチェーン全般にわたる今回の連携は、それぞれの分野で主導的地位にある両社の強みを生かし、日本における産業とモビリティ市場の脱炭素化に重要な要素となる水素の発展、ひいてはエネルギー変換の加速に大きく寄与するものと認識しています。財務業績目標と財務を超えた取り組みを組み合わせた当社の戦略プラン「ADVANCE」に沿うものです。」
ENEOS株式会社 代表取締役 副社長執行役員 宮田 知秀 氏のコメント
「ENEOSグループは2040年に向けた長期ビジョンにおいて、『エネルギー・素材の安定供給』と『カーボンニュートラル社会の実現』との両立に向けた挑戦を掲げています。産業ガスの世界最大手であるエア・リキードとの連携は、エネルギートランジションをリードし、日本におけるカーボンニュートラル社会にエネルギーを安定供給していく上で、重要な足がかりになると自負しています。現在当社はMCH※を主な水素キャリアと位置づけていますが、将来の脱炭素社会の形成に向けて、今回の提携を通じて液化水素によるサプライチェーン構築の可能性も追求していきます。」
*水素ガスの500分の1の容積で常温常圧の液体。貯蔵や輸送等、取り扱いが容易なことが特徴。