高圧ガス工業 2024年3月期第2四半期連結決算

CO2発生量を約99.5%削減する溶解アセチレンの熱処理工法を開発

 高圧ガス工業の2024年3月期第2四半期連結決算は、売上高448億0800万円(前年同期比1.7%増)、営業利益26億2000万円(同7.2%増)、経常利益32億1900万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する純利益22億1900万円(同12.0%増)だった。直近公表の通期連結業績予想と年間配当金予想に変更は無い。

 セグメント別の経営成績は次のとおり。

ガス事業

 売上高は325億8300万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は26億7900万円(同1.4%増)。

 鉄鋼、自動車、半導体、建設など仕向け先において、需要回復が鈍く、更に原材料の供給制限が続いた。シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、生産・販売体制を見直し地域に密着した営業に努めた。

 カーボンニュートラル社会の実現に向け、環境負荷の低い液化アンモニアや水素ガス等の供給網整備に取り組んだ。また、従来の熱処理工法よりCO2発生量を約99.5%削減できる溶解アセチレンを用いた新工法を開発。

 『溶解アセチレン』は、建設及び土木関連の現場向け出荷数量が減少したものの、造船業界向け出荷数量の回復と原材料の上昇による価格改定により、売上高は前年同期を上回った。

 『その他工業ガス等』は、酸素、窒素、アルゴンが充填所及び大手ユーザー向けに需要が減少、炭酸がプラントメーカーの生産量の減少に伴なう原料出荷制限、LPガス等は需要の減少により出荷数量はそれぞれ減少した。売上高では各種原材料価格の上昇による価格改定を実施したが、LPガス等が輸入価格の下落に伴なう販売価格の低下により減少し、前年同期を下回った。

 『溶接溶断関連機器』は、設備工事や工作機械等の受注が減少し、売上高は前年同期を下回った。

 『容器』は、半導体及び一般工業用向け容器の出荷数量が減少したものの、原材料の上昇による価格改定により、売上高は前年同期を上回った。

化成品事業

 売上高は103億1600万円(前年同期比微減)、営業利益は5億7300万円(同18.1%増)。 

 原材料の供給面は安定してきたものの、依然として原材料価格やエネルギー価格の高止まりが続いた。仕向け先への製品の安定供給に努め、また、新しい技術の開発に注力、環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。

 『接着剤』は、ペガールが紙用の新製品開発により販売が増加したものの、土木建築用・塗料用の需要が減少した。シアノンが欧米向けに高機能品が増加したものの、アジア向けの需要が減少。ペガロックが海外で中国向け弱電用がロックダウン解除により販売が回復したものの、国内向けが住宅設備関係の需要が減少した。売上高は、接着剤全般の原材料価格の高騰に伴なう価格改定を実施したが、前年同期を下回った。

 『塗料』は、外装用高機能品の「ビーズコートシリーズ」の伸長、防水需要の回復、海外向け工業用の伸長があったものの、建築汎用塗料は、戸建改修の需要が減少した。また、エアゾール製品も需要が減少した。売上高は原材料価格の上昇に伴なう価格改定もあり、前年同期を上回った。

その他事業

 売上高は19億0800万円(前年同期比20.0%増)、営業利益は400万円(前年同期は5600万円の営業損失)。

 LSIカード関連及び食品添加物の需要が増加し、価格改定もあり前年同期を上回った。