レゾナック、半導体材料製造過程での廃棄物を半導体ガス原料へ循環
使用済みプラスチックからケミカルリサイクル技術で水素と炭酸ガス生成
レゾナックは、半導体材料の製造過程で生じる使用済みプラスチックを自社のケミカルリサイクル技術※1を活用して水素や炭酸ガスに換え、資源として循環させる検討を開始した。2024年1月末に初回の実証試験を行い、技術的に問題なくガス化できることを確認した。
今回試験に使用した使用済みプラスチックは、山崎事業所の感光性フィルムと、五井事業所のダイボンディングフィルムの製造過程から発生したもの。試験ではRPF※2に加工後、川崎プラスチックケミカルリサイクル事業(KPR※3)で分子レベルまで分解、水素及び炭酸ガスを生成した。水素はアンモニアの原料として、半導体製造用の高純度ガスを始め、繊維や接着剤の原料、窒素系肥料などに利用される。炭酸ガスは大気中に放出することなく、ドライアイスや飲料用炭酸として再利用する。
半導体材料の使用済みプラスチックは、現状ではRPFに加工し、焼却されている。今回の実証実験で使用済みプラスチックを焼却せずにガス化することでCO2排出量を削減できる。
近年、AI、モバイル端末、自動運転などの進化に伴い、半導体の使用量は年々増加している。半導体の製造過程で排出されるCO2量をはじめ、環境への負荷も増大しており、サプライチェーン全体で環境配慮の要求は年々高まっている。
レゾナックは、環境負荷やCO2排出量の削減に向けた取り組みを積極的に進めており、製品のライフサイクル全体を見据えた環境配慮型の製品開発を推進。今回の取り組みもその一環で、また、事業の垣根を越えた共創として推進している。この実証試験は、今後も対象の事業所を増やし、効果や事業性をさらに調査していく予定。
※1 使用済みプラスチックを分子のレベルまで分解して水素とCO2を取り出し、アンモニアやドライアイスを製造する。
※2 Refuse derived paper and plastics densified Fuel の略称。主に産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが難しい使用済みプラスチック類などを主原料とした固形燃料。
※3 世界で唯一20年にわたり安定運転しているガス化ケミカルリサイクルプラント。2003年に稼働開始し、日本のケミカルリサイクルの約22%に相当する年間約7万トンの使用済みプラスチックをガス化している。KPRで取り出された水素の一部は近隣プラントで化学原料向けや燃料電池自動車向けに活用されるほか、環境調和型アンモニア「エコアン®」の原料となる。またCO2は大気中に放出することなくドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料に使用されるなど、資源循環を実現している。