大陽日酸と日酸TANAKA、回転管溶接向け制御装置「サンアーク パイプコントローラ」の販売開始

予め設定した溶接条件を自動で反映、生産現場の自動化やコストダウンを実現

 大陽日酸は、グループ会社の日酸TANAKAと共同で、配管自動溶接における回転管溶接向け制御装置「サンアークパイプコントローラ」を開発し、2024年4月から販売を開始する。両社は、2024年4月24日(水)~27日(土)にインテックス大阪で開催される「2024国際ウエルディングショー」に「サンアークパイプコントローラ」を出品する。

制御装置外観(本体㊧、リモコン)
制御装置外観(本体㊧、リモコン)

 サンアークパイプコントローラは、回転管自動溶接において予め設定した溶接条件を自動で反映させることにより、高品位と自動化を両立する制御装置。配管溶接では材料への熱蓄積が進み易く、一定の溶接条件設定では安定した溶接が困難になる。このため、各段階で溶接条件を調整した手動溶接が求められ、自動化へのハードルのひとつとなっていた。

 本製品は、配管自動溶接において段階ごとに溶接条件制御を行うことで、溶け込み不足といった不具合を回避し、全周に渡り安定した高品位な配管自動溶接を実現する。溶接速度の向上及び板厚・管径の適用範囲拡大が可能となり、生産現場の自動化推進及びコストダウンに貢献する。

図1 システム構成の一例
図1 システム構成の一例

 装置構成は本体とリモコンからなり、これらを既存の溶接機、ポジショナー(回転装置)、ワイヤ供給装置に接続する(図1)。制御は、初期電流からクレータ電流までの各段階に対して、溶接電流、ワイヤ送給速度、回転速度(溶接速度)、溶接時間の設定が可能。この設定は装置において100パターンまで記憶させることができ、必要な時に呼び出して設定することができる。

図2 段階ごとの溶接条件制御の一例
図2 段階ごとの溶接条件制御の一例

 リモコンからのタッチ操作により溶接開始を指示することで、各装置を稼働させる。リモコン操作画面(図3)は、入力しやすい10インチのタッチモニターを採用した。

図3 制御項目とリモコン操作画面
図3 制御項目とリモコン操作画面

標準構成

  • 回転管溶接向け制御装置「サンアークパイプコントローラ」(本体:W400×L200×H582mm、リモコン:W390×L65×H280mm)
  • 溶接機
  • ワイヤ送給装置
  • ポジショナー(回転装置)

オプション

  • 高速キーホールTIGトーチ「サンアークDS-TIGアドバンス溶接トーチ」
  • 高能率TIGトーチ「サンアークTIGマイスター溶接トーチ」
  • 回転管溶接倣い装置「サンアークXZスライダー」
  • 溶接監視カメラ「サンアークアイ」

オプションとの組み合わせによる効果

  1. 高速キーホールTIGトーチ「サンアークDS-TIGアドバンス溶接トーチ」
     厚肉パイプにおいて、初層溶接(裏波溶接)の高速キーホールTIG溶接により、開先加工・パス数を削減。仕上げ(積層溶接)の非キーホール溶接にも対応可能で、単一のトーチにて、仕上げ溶接までの工程が完了できる。
  2. 回転管溶接倣い装置「サンアークZXスライダー」
     プレハブ配管施工の自動化において起こりやすい問題である回転ブレに対して、スライド機構によって高さ・周方向の位置を修正し、安定溶接に貢献する。
  3. 溶接監視カメラ「サンアークアイ」
     コンパクト・高画質なカメラによる溶接状況の撮影が可能となり、遠隔監視や溶接状況のデータ化による自動化・生産管理を推進できます。