大陽日酸がアンモニアから燃料電池自動車(FCV)用水素製造の実証試験に成功

品質仕様(ISO 14687:2019 Grade D)をクリア

 大陽日酸はこれまでの水素ガス精製の知見を基に、アンモニア分解炉と同社が開発した水素精製装置を組み合わせた水素製造試験で、製品水素が燃料電池自動車(FCV)用水素燃料に要求される品質仕様の規格(ISO 14687:2019 Grade D)を満たす水素を、アンモニアから製造することに成功した。これによりアンモニアから水素を製造し、FCVへ供給する装置開発に目途を付け、今後は装置の商品化を進める。

アンモニアからFCV用燃料品質を満たす水素製造を実証した試験装置外観
アンモニアからFCV用燃料品質を満たす水素製造を実証した試験装置外観

 政府が2050年のカーボンニュートラルの実現に向け水素等※1の供給・利用の拡大を図る中、大陽日酸も環境貢献製商品によるGHG削減を目標に掲げ開発に取り組んでいる。同社は2014年から2018年にかけて、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」の委託研究課題「アンモニア水素ステーション基盤技術」に参画し、アンモニア分解ガスを模擬した窒素25%、メタン0.1%および水素74.9%の混合ガスから窒素100ppm未満、メタン1ppm未満の水素ガスを精製できる技術を確立※2していた。

※1:水素に加え、その化合物であるアンモニア、合成メタン、合成燃料を指す
※2:2018年10月11日リリース「アンモニア分解ガスから燃料電池自動車の燃料水素を高効率で回収する水素精製装置を開発」