日本特殊陶業が「水素の森」プロジェクトを始動

水素・炭素循環のスタートアップを支援、小牧工場内に実証フィールドを設置

 Niterra グループの日本特殊陶業は、「水素と炭素循環を、これからの地球へ。」をコンセプトとした「水素の森」プロジェクトを開始した。ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン株式会社(百合本安彦 代表取締役社長)と共同で設立するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)ファンドを通じて、水素・炭素循環に関連するスタートアップへの投資支援を行う。

「水素の森」プロジェクトロゴ
「水素の森」プロジェクトロゴ

 また、同テーマに特化した敷地総面積5,000 ㎡の実証フィールドを日本特殊陶業小牧工場(愛知県小牧市)内に設置し、スタートアップの技術開発・成長支援を行う。グループは、本プロジェクトの推進によって水素・炭素循環関連産業の発展の一翼を担うとともに、水素社会・炭素循環型社会の早期実現への貢献を目指す。

実証フィールド外観イメージ
実証フィールド外観イメージ

 水素の森プロジェクトを起点としたオープンイノベーションによって、スタートアップが持つユニークな技術と日本特殊陶業グループが80 年以上にわたって培ってきた技術のそれぞれを活かし、地球の未来に向けて水素・炭素循環関連産業の発展に寄与する。

 また、グループは、水素の森プロジェクトの運営により、水素・炭素循環に関する知見、情報、技術の入手や新規事業の協業先となり得る企業との連携といった事業面でのシナジーだけでなく、官公庁や地域社会とのパートナーシップの構築、他社人財とグループの人財が切磋琢磨することによるスキルアップや社内の風土改革へとつながっていくことも期待する。

水素の森プロジェクト Web サイト

URL:https://niterra-suisonomori.com

水素の森プロジェクト発足の背景

 近年、温室効果ガスの増加による地球沸騰化、海面上昇、自然災害の甚大化など、自然環境は厳しさを増し、カーボンニュートラルの実現が人類共通の課題となっている。この複数あるカーボンニュートラルへの対応策の中でも、CO₂を排出しない水素は化石燃料由来の代替エネルギーとして注目が集まる。

 さらに、CCU(Carbon dioxide Capture, Utilization)、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)のように、CO₂の分離・回収・利活用を行うことにより、炭素循環を構築し外部にCO₂を排出しない社会を実現していく取り組みも各所で活発になってきた。

 日本特殊陶業グループは、「2030 長期経営計画 日特 BX」において「環境・エネルギー」を注力領域の一つに掲げており、水素利用や炭素循環の担い手となる SOEC や SOFC などのデバイス、またメタネーションを含む地域 CCU®などのソリューション開発といった取り組みを進める。

 水素社会・炭素循環型社会の実現を促進するためには、自社の事業領域に限らず多様なアイデアを持ったスタートアップへの投資や成長支援が必要とされ、グループのアセットを活用した事業化、共同開発といったオープンイノベーションの可能性も見込み、水素の森プロジェクトを発足した。

水素の森プロジェクトで目指す社会

 目指す姿は、「人と地球のため、持続可能なエネルギーと資源による、明るい未来を誰もが享受できる社会」。水素の森プロジェクトでは、この目指す社会にまつわる技術、サービス、ビジネスへの投資をはじめ実証フィールドの提供によって早期開発・実装を支援する。

投資と協業を検討する領域
投資と協業を検討する領域

CVC ファンドの概要

名称: 水素の森投資事業有限責任組合(登記名)(呼称:Niterra 水素の森ファンド)
運用期間: 10 年
運用総額: 40 億円
投資領域: 水素社会、炭素循環型社会を実現するための技術開発および一部サービス
無限責任組合員: グローバル・ブレイン株式会社
有限責任組合員: 日本特殊陶業株式会社

グローバル・ブレイン株式会社について

会社名: グローバル・ブレイン株式会社
所在地: 東京都渋谷区桜丘町 10-11
代表者: 代表取締役社長 百合本安彦
設立日: 1998 年 1 月
事業内容: ベンチャーキャピタル事業
URL: https://globalbrains.com

実証フィールドの概要

名称: SUISO no MORI hub
所在地: 愛知県小牧市大字岩崎 2808(日本特殊陶業 小牧工場内)
敷地総面積: 約 5,000 ㎡ ※実証試験場・水素インフラ供給スペースなどを含む
建築面積: 約 500 ㎡(鉄骨 2 階建て)
延床面積: 約 600 ㎡
着工: 2024 年 5 月(予定)
竣工: 2024 年 11 月(予定)

名称・ロゴについて

 水素の森プロジェクトは、水素・炭素循環におけるインキュベーション&アクセラレーションの場であることから、多くの命を育む森のように、スタートアップの成長およびたくさんのスタートアップがここを起点に飛び立ってほしいという想いから「水素の森」という名称とし、ロゴには鳥を象った。