「FOOMA JAPAN」で液体窒素の急速冷凍や低温・凍結粉砕を展開
コフロックはヘリウム代替の水素+窒素ガス発生装置「Dr.ONE SEVEN」展示
2024年6月4日~7日の4日間、食品製造総合展示会の「FOOMA JAPAN 2024」が東京ビッグサイトで開催され、産業ガス業界から岩谷産業や大阪ガスリキッド、コフロックなどが液体窒素による急速冷凍や低温・凍結粉砕、食品のガス置換包装(MAP)システム、高濃度酸素溶解装置、ドライアイス洗浄、ガス混合装置、ガス発生装置などを出品した。
岩谷産業では、食品製造における省エネや廃棄ロス削減として、ほぼ電力を使用しない液体窒素の急速冷凍による前処理活用で、後段の冷凍機の負荷低減・処理能力の向上、電気使用量削減の提案や、液体窒素冷却で対象物の硬度を上げることで、カット加工をきれいに仕上げ、カット時のロス削減に貢献することを紹介した。
液体窒素冷却方式にはトンネル式や浸漬方式などがあり、電気式フリーザーに比べて洗浄性に優れることや、省スペースでコンパクトな装置、瞬間凍結による低ドリップな冷却が可能。ブースでは圧力調整器メーカー、ユタカの真空ガス置換・ガス封入用「ガス混合装置」や、AIによる画像診断、ドライアイス洗浄システム、養殖・排水処理向け酸素溶解装置も出品した。
大阪ガスリキッドは、液化窒素を用いた食品原料の低温・凍結粉砕の受託加工のPRを行った。平均径数10µm~数100µmまでの粉砕が可能で、アレルゲンも受入可能(そば・落花生を除く)。窒素雰囲気下での粉砕のため酸化を抑制し、凍結粉砕のため油分水分を多く含む食品の粉砕が可能、粉砕熱がかからないため風味や香りを損なわない、などの特長がある。同社は大阪府高石市と堺市にそれぞれ、食品専用の低温粉砕センターと樹脂の低温粉砕センターの工場を所有しており、大阪ガスが輸入するLNGの冷熱(-160℃)を利用して効率的に液化窒素を製造する。その液化窒素を活用して、常温では粉砕困難な樹脂や食品を高品質な粉体に加工するもので、粉砕実績は果実・かつお・アーモンド・硬化油脂・ごま・コーヒー・チョコレートなど多岐にわたり、加工前と後のサンプルを多数展示した。
ガス発生装置を製造するコフロックは、食品のガス置換包装(MAP)向けに窒素ガスによる酸化防止、品質保持期限の延長を可能にするオンサイトでの窒素ガス発生装置の提案を行い、コストの低減やボンベ供給比較とのCO2排出量の削減効果などをアピールした。また、新製品となるH2+N2ガス発生装置「Dr.ONE SEVEN」の実機を展示、水と空気を原料として手軽に水素+窒素の混合ガスを発生させるサーチガスの紹介を行った。食品包装機にH2+N2ガスを供給、食品パッケージ内にリークテスト用のガスを充填することで、水素リークテスターなどの検知器を用いて充填ガスの漏れチェックが可能になる。供給不安から高騰しているヘリウムガスに代わるリークテスト用ガスとしての提案で、食品以外でも半導体製造のボンディングや半田付けのフォーミングガス、光輝焼鈍や酸化物の還元ガスとしての活用も視野にいれる。マスフローコントローラー搭載で用途によってタッチパネル方式の流量や水素比率(最大5.0%)の変更が可能、高圧ガス保安法対象外。コフロックでは、工場エアー不要で精製水と電気のみでオンサイト供給ができるのでボンベ管理・交換が必要なく、混合ガスボンベ使用や現場での混合による方式に比べて大幅なコスト削減が見込めるとしている。