エーテック設備検査成績書の不正行為調査結果を公表
該当設備すべてに安全性を確認、高圧ガス保安協会(KHK)へ報告
岩谷産業は、2024年7月19日に公表した子会社のエーテック株式会社(以下、エーテック)における設備検査成績書に関する不正行為について、特別調査チームを設置して調査を実施、調査が完了し9月6日付で、特別民間法人高圧ガス保安協会(以下、KHK)へ報告した。
調査の概要
- 調査体制
2024 年 7 月 18 日、岩谷産業㈱、グループ会社である岩谷瓦斯㈱、アイ・テック・サービス㈱を主体とするメンバーで特別調査チームを立ち上げ、調査を実施。 - 調査内容
① 当該設備検査担当部門社員へのヒアリング
② 検査成績表および調達部が保管またはメーカー等から新たに取り寄せたミルシート、個別検査記録の照合
③ 調査結果に基づく当該不正の原因調査 - 調査対象設備
確認できる 2014 年以降のエーテックが製造した設備のうち、KHK による特定設備検査を受検したもの。(たて置円筒形貯槽、蒸発器 他)
調査結果
不正行為のあった 17 基を含む 2014 年以降のエーテックが製造した特定設備について、確認できる関係書類の照合等により、安全性を確認した。
- 検査成績表の不正押印(9 基)
【対象設備】蒸発器 4 基、 たて置円筒形貯槽 5 基
【該当設備の安全性確認】該当設備すべてについて、検査成績表と確認できる個別検査成績書およびミルシート原本等の照合を行い安全性に問題がないことを確認した。KHK への報告も完了。対象となる設備を納入した顧客には、岩谷産業およびエーテックより不正行為の内容を個別に説明し、真摯に対応する。 - ミルシートの発行日改ざんおよび検査成績表の不正押印(8 基)
【対象設備】液化水素ローリー(4 台)用 蒸発器 8 基
【該当設備の安全性確認】該当設備すべてについて、検査成績表と確認できる個別検査成績書およびミルシート原本等の照合および機器の確認(非破壊検査、製鋼番号の確認)を実施した。安全性に問題がないことを確認し、KHK への報告も完了。
原因分析と再発防止策
- エーテックで不正行為が発生した主な原因は以下の通り。
① コンプライアンス意識の欠如
・検査成績書の作成を担当する業務が法律に基づく重要な役割であるにも関わらず、エーテック社内でコンプライアンスに関わる教育が不足しており、そのことが十分認識されずに業務が遂行されていた。
② チェック機能の不備
・エーテックでは、設備の検査を実施する部署と、その検査結果をもとに各書類を作成し申請を計画・実施する業務を行う部署が同じ生産本部に所属し、第三者的チェック機能を持っていなかった。
・各書類を作成し申請を計画・実施する業務が属人化されており、チェックする仕組みが不十分で、その業務が現場任せになっていた。 - 上記原因分析等を踏まえて、主に以下の再発防止策を策定し、実施する。
① コンプライアンス意識の醸成
・エーテック社内で経営層・社員も交えたコンプライアンス委員会を設置し、法律およびコンプライアンスに関わる教育を岩谷産業と連携して全従業員に対し定期的に徹底して実施し、その十分な理解のために一人ひとりへのフォローを継続的に行う。
② チェック機能の整備
・社長直轄の組織として品質保証部を独立させ、検査・記録・申請書類等の作成を行う部署と分離し、各検査・記録・申請書類が適切に行われているか等について、第三者的立場で確認・承認を行う。
・各検査・記録・申請書類作成の各業務について要領書を定め属人化を防止するとともに、当該部署内での業務については幹部社員が確認・承認を行うように規定類に定め実行する。
また、エーテック社内に社長直轄の監査部を創設し、コンプライアンスに関わる教育や再発防止策が適切に実行されているか等について社内監査プログラムを立案し、監査を行う。更にエーテック監査部によって適切な社内監査が実行されていることを岩谷産業監査部が定期的に監査し、グループ一体となってガバナンスの強化に努める。
岩谷産業グループでは「今回のような不正行為が発生したことを真摯に受け止め、この度、策定しました再発防止策を実施し、このような事態を再び起こさぬよう、グループ全体として厳正に対応してまいります。エーテックは高圧ガスのサプライチェーンの中でも極めて重要な役割を担う貯槽、輸送車両、設備機器等の製造を通して社会に貢献するという使命を果たすべくお客様をはじめとする関係者皆様からの信頼の回復に全力で取り組んでまいります」としている。