岩谷産業 2025年3月期第2四半期連結決算

エアセパレートガスと水素が伸長、ヘリウムは市況軟化、炭酸ガスの収益性低下

 岩谷産業の2025年3月期第2四半期連結決算は、売上高4000億0400万円(前年同期比1.5%増)、営業利益161億4000万円(同10.6%増)、経常利益222億8300万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益150億8500万円(同25.1%増)となった。通期業績予想と年間配当金予想に変更はない。

 水素エネルギー社会の実現に向け、日本初となる水素関連分野に特化したファンド「Japan Hydrogen Fund」に出資する契約を締結した。本ファンドを通じ、水素サプライチェーン構築への取り組みを加速。総合エネルギー事業では、災害に強いLPG基幹センターの整備に継続して取り組むとともに、直売顧客数を拡大し、事業基盤の強化を図った。産業ガス・機械事業では、東南アジアでのエアコンや自動車向け冷媒の販売拡大を図るとともに、使用済みフロンの回収・再生への取り組みを進め、事業拡大に努めた。マテリアル事業では、希少資源であるチタン鉱石について、権益を確保しているノルウェーの採掘工場の建設が順調に進み、2025年上期での販売開始に向けて、物流などの供給体制の確立に取り組んだ。

 セグメント別の状況は次のとおり。

【総合エネルギー事業】

 売上高は1572億6300万円(前年同期比139億3300万円の増収)、営業利益は32億7000万円(同44億6900万円の増益)。

 LPガス輸入価格が高値で推移したことに加え、工業用LPガスの販売が堅調に推移し、増収。利益面においては、LPガスの収益性が小売部門で低下したが、卸売部門では堅調に推移し、また市況要因による減益影響が改善(前年同期比40億8100万円の増益)した。加えて、カセットこんろ・ボンベやエネルギー関連機器の販売が伸長し、増益となった。

【産業ガス・機械事業】

 売上高は1285億8300万円(前年同期比17億4200万円の増収)、営業利益は79億8800万円(同28億6300万円の減益)。

 エアセパレートガスについては、電子部品業界向けを中心に販売数量が伸長。水素事業は、主に宇宙開発向けに液化水素の販売が堅調に推移した。特殊ガスについては、マレーシアの事業会社買収により冷媒事業は拡大したものの、ヘリウムは中国を中心に市況が軟化し、炭酸ガスは調達コストが増加したことにより、収益性が低下した。また、機械設備については、防災ガス設備の販売が増加したものの、自動車関連向け設備が減少した。

【マテリアル事業】

 売上高は991億5500万円(前年同期比93億8100万円の減収)、営業利益は61億3300万円(同1億2500万円の減益)。

 エアコン向け成形品や消費者向け樹脂製品の販売が伸長したことに加え、ミネラルサンドについては、豪州の自社鉱区での生産が堅調に推移するとともに、国内外で販売数量も増加した。一方で、ステンレスや次世代自動車向け二次電池材料は、市況価格の下落及び販売先の在庫調整の影響等により、低調。

【その他】

 売上高は150億0100万円(前年同期比5億0200万円の減収)、営業利益は16億9400万円(同3億5900万円の増益)。