デンヨーが帝人のIE社製燃料電池モジュールを採用した3kVA級水素燃料電池発電装置を開発

帝人エンジニアリングの「ウルトレッサ」大型可搬式複合材料容器で水素供給

 デンヨー株式会社(本社:東京都中央区、吉永 隆法 社長、以下「デンヨー」)は、帝人が展開するIntelligent Energy Limited(以下「IE 社」)製の燃料電池モジュール(※1)を採用した 3kVA 級の水素燃料電池発電装置を開発した。本装置への水素供給に、帝人グループの帝人エンジニアリングが展開する大型可搬式複合材料容器を使用することで、連続で長時間の運転が可能になる。

(※1)水素燃料電池発電装置のコアとなる部品。外部から取り込んだ水素と酸素を化学反応させて電気を作り出す。

デンヨーが開発した水素燃料電池発電装置
デンヨーが開発した水素燃料電池発電装置
帝人が展開する IE 社製の燃料電池モジュール「IE-LIFT804」
帝人が展開する IE 社製の燃料電池モジュール「IE-LIFT804」
帝人エンジニアリングが展開する大型可搬式水素用複合材料容器
帝人エンジニアリングが展開する大型可搬式水素用複合材料容器

 デンヨーが開発したのは、IE 社製の燃料電池モジュール「IE-LIFT 804」を搭載した水素燃料電池発電装置で、デンヨーが有する水素燃料電池発電装置に関する技術や知見に、帝人が有する IE 社製の燃料電池モジュールに関する運転ノウハウや実証実験で得た知見などを組み合わせている。

 開発品の仕様は、定格出力が 3.1kVA 単相 3 線式 (周波数 50/60Hz)、電圧が 200V / 100V、寸法が全長 1020 × 全幅 700 × 全高 1000 mm、質量が200kg。野外イベント会場や工事現場、災害現場などで需要が高いとされる3kVA の発電能力を搭載するほか、200V と 100V の使用が可能となっている。

 開発品に「ウルトレッサ」の大型可搬式水素用複合材料容器を用いた場合、ボンベ1本で容量 130L/充填圧45MPa の場合で約 13.6 時間、容量130L/充填圧19.6MPaの場合で約 6.7 時間の連続運転時間(*2)が可能としている。

(*2)仕様に応じた定格の電力負荷をかけた場合の連続運転時間

 近年、地球温暖化問題の解決に向けた次世代エネルギーとして水素エネルギーの利用が注目されている。全世界で発電機事業を展開するデンヨーは、2019年より水素燃料電池発電装置に関する技術開発を開始し、2024年には量産型燃料電池式可搬形発電装置の開発を進めている。

 一方、帝人は、2021年より IE 社が開発した燃料電池モジュールの代理店販売を開始し、2023年からは IE 社製の燃料電池モジュールを用いた1kVA 級の可搬式小型燃料電池発電装置の開発を行い、水素燃料電池発電装置の有効性・有用性について検証を進めている。また、帝人エンジニアリングは、炭素繊維を用いた複合材料圧力容器「ウルトレッサ」を水素ボンベ向けにも展開している。

 こうした中、両社の知見やノウハウを組み合わせることにより、水素エネルギーの早期の社会実装に貢献できるとして、可搬式の小型タイプとして大容量である 3kVA 級の水素燃料電池発電装置の展開に向けた協議を進めてきた。デンヨーと帝人グループは、水素燃料電池発電装置の社会実装に向けて、今後も共同で実証実験を実施するなど連携し、水素エネルギーの早期の普及を目指す。

「H2&FC EXPO ~水素・燃料電池展~」に出展

 帝人グループは、2025年2月19日~2月21日まで東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される「H2&FC EXPO ~水素・燃料電池展~」に出展する。帝人エンジニアリングが展開する大型可搬型複合材料圧力容器のほか、デンヨーが開発した新しい水素燃料電池発電装置の展示も行う。(ブース番号:E1-24(東 1 ホール))