「第18回 イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京」を開催
コスモ石油千葉製油所に第4の液化水素プラント建設
岩谷産業は2025年2月26日、東京都千代田区の東京国際フォーラム「ホールB7」で「第18回 イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京」を開催した。テーマは「広がる水素の実装に向けて」。本フォーラムは水素エネルギー普及の気運を盛り上げ、ネットワークづくりの“場”を提供することを目的に、2006年から開催されているもので今回で18回目。
プログラムでは、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長の伊藤禎則氏より「水素等を巡る最近の動きについて」の来賓挨拶の後、日本原子力研究開発機構エネルギー研究開発領域高温ガス炉プロジェクト推進室長の坂場成昭氏から「高温ガス炉を用いた大規模水素製造実現に向けた取り組み」、三井住友銀行理事グローバルバンキング部門ホールセール部門統括責任役員補佐の金子忠裕氏から「SMBCグループのカーボンニュートラル・水素普及に向けた取組み」、INPEX常務執行役員水素・CCUS事業開発本部長の加賀野井彰一氏から「INPEXの水素事業の取り組み」、2025年日本国際博覧会協会持続可能性局担当課長の川島崇利氏から「大阪・関西万博での脱炭素の取り組み」の4つの特別講演が行われ、関係各界から640名が来場した。
岩谷産業の間島寬 代表取締役社長執行役員は、開会の辞で「水素の大規模なサプライチェーンの実現にはまだ時間を要し、足下で増加する水素需要への対応として、水素の国内製造能力の強化が喫緊の課題となります。岩谷産業では新たな液化水素製造プラントの建設など、増加する需要に確実に対応できる供給体制の確立に現在取り組んでいる」と述べて、2024年4月にコスモエネルギーホールディングスと資本業務提携を締結したことを踏まえて、コスモ石油の千葉製油所での第4の液化水素プラントの建設を両社で検討しているとした。
また、水素社会の実現に向けて多くの仲間作りが重要だとし、そのプラットフォームとして岩谷産業も共同会長を務める水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)とアドバンテッジパートナーズ、三井住友DSアセットマネジメントが、2024年9月に日本初の水素関連分野に特化した投資ファンド「Japan Hydrogen Fund」を設立。ファンドを通じた国内外の水素関連事業や企業への出資が、水素社会実現に向けた民間投資の呼び水となることを目的としている。
2025年4月13日には、待望の大阪・関西万博が開幕となり、岩谷産業は水素燃料電池船「まほろば」を運行する。定員150名、中之島ゲートからユニバーサルシティポートを経由して、万博の会場となる夢洲(ゆめしま)をつなぐ。間島社長は「万博会場への移動手段としてご利用いただくことで、多くの皆様に水素の社会実装を体験していただきたい。また、万博では水素船以外にもNTTグループとパナソニックグループによる水素サプライチェーンモデルやDAC(Direct Air Capture、直接空気回収技術)、メタネーションなどの実証も予定されています。これらの取り組みが水素技術実装のモデルケースとなり、万博を通じて世界中に発信されることを期待をしています」と結んだ。
イワタニ水素エネルギーフォーラムは、大阪・関西万博開幕直前の2025年3月26日(水)に大阪での開催も予定されている。(岩谷産業ウェブサイトより、事前申込が必要)