エア・ウォーター、タイムズ南本町第一駐車場に垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を納入
2025年5月9日から実用運転を開始、都心部の駐車場で両面受光・垂直型の太陽光発電
エア・ウォーターはタイムズ24株式会社が運営するタイムズ南本町第一駐車場(大阪市中央区)に垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を納入した。2025年5月9日より実用運転を開始した。商業ビルが立ち並ぶ都心部において、両面受光が可能な垂直型の太陽光発電設備の導入は国内初。年間発電量の予測は4,000~4,500kWh、1.7~1.9t-CO₂/年のCO₂削減量を見込んでいる。
エア・ウォーターがドイツのNext2Sunと共同開発したVERPAは、30cmの幅があれば設置可能で、地表面から2m以上の高さにパネルを設置するため、下部空間を駐車場や通路や緑地など自由に使用できる。パネルの表と裏の発電性能にほとんど差が無い高性能な両面受光型の太陽光パネルを垂直配置するVERPAは、受光面を南に向ける必要がなく、屋根置き型の従来品と比べても年間発電量に大きな差はないとしている。
環境意識の高まりを受け、自治体において再生可能エネルギー電力の積極的な活用が進んでおり、庁舎に付帯する駐車場などの電力供給にも再生可能エネルギー電力の導入が求められている。タイムズ24では、こうした社会的な要請に応えられる体制を整えるとともに、駐車場内で発電した再生可能エネルギーを活用した駐車場運営のモデルケース駐車場としてVERPAを導入した。本設備は、主に駐車場の精算機や駐車車両を管理するカメラなどの駐車場設備に接続され、日照時間が限られた環境下でも効率的な発電が期待できる自家発電設備として使用される。
2050年カーボンニュートラルの実現には、太陽光発電システムのさらなる導入が不可欠だが、適地不足が大きな課題となっている。特に電力需要の多い都心部は、地価が高い上に日照条件の良い開けた場所が少なく、ビルの屋上にも多くの機材が置かれているため、太陽光発電の不適地とされてきた。また人口密集地であるため太陽光パネル表面からの反射光を防ぐ対策も必要だった。
VERPAに搭載された両面受光型の太陽光パネルは、2枚の強化ガラスの中央に発電シートを挟み込む構造を持ち、発電に寄与しない光をそのまま透過させるほか、ガラス表面に防眩効果と汚れ付着防止を目的とした微細な凹凸処理(エンボス加工)を施した。周囲のビルの窓ガラスよりも光の反射量が少なくなるため、従来の太陽光パネルのような反射光トラブルを起こすリスクは大幅に低下している。
周囲からの反射光や散乱光を有効的に利用するVERPAは、高いビルに囲まれた都心部の駐車場のような、直射日光がわずかな時間しか届かない場所でも効果的な発電を可能にする。エア・ウォーターでは、太陽光発電設備の不適地とされるビル街でのVERPAの発電データを収集して活用することで、電力需要が集中する都心部における再生可能電力の地産地消型システムの実現を積極的に支援する。
タイムズ南本町第一駐車場に導入された「VERPA」の概要
- ユニット数:6ユニット(南北受光タイプ)
- 発電出力:モジュール総発電能力 6.3 kW-DC/パワコン出力 5.5kW-AC
- 設備の特徴:停電時にも太陽光発電が可能となる自立運転システムを採用
- 設置場所:大阪市中央区南本町1-8 駐車場 北側境界近く
- 年間発電量:4,000~4,500kWh/年(予測値)
- CO₂削減量:1.7~1.9t-CO₂/年(関西電力のCO₂排出係数0.434kg-CO₂/kWhで計算)