大陽日酸、日本通運と共同で特殊ガス製品輸送のモーダルシフトを開始
半導体工場の新設・増設に対応し輸送能力を増強、鉄道利用で温室効果ガスの排出抑制
大陽日酸と NIPPON EXPRESS ホールディングス株式会社のグループ会社、日本通運株式会社は、共同で2025年6月から神奈川県川崎市 ~宮城県多賀城市間の特殊ガス製品の鉄道輸送を開始する。物流人材の担い手不足への対応と、カーボンニュートラル社会の実現を図り、強固で環境に配慮した輸送サプライチェーンの維持・強化を目指す。

※特殊ガス:高純度ガス、標準ガス、半導体材料ガスの総称。分析機器の校正や半導体製造等で使用される
輸送対象となる特殊ガス製品は、大陽日酸グループの大陽日酸JFP株式会社(本社:神奈川県川崎市)が製造し、各地にトラックで遠距離を輸送している(北海道のみ船舶輸送を一部含む)。一方、近年の半導体工場の新設・増設により、特殊ガス製品の需要拡大が見込まれており、輸送能力の増強が課題だった。本取り組みにより、従来の輸送網に鉄道を加えることで、大陽日酸の特殊ガス製品における輸送能力は大幅に向上する見通し。

さらに、鉄道へのモーダルシフトは温室効果ガスの排出抑制にも効果的とされる。鉄道輸送による温室効果ガス排出量は、同一区間のトラック輸送の1/10となり、顧客の「スコープ3」(サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量)削減対応に寄与する。
大陽日酸は本取り組みの実施にあたり、将来のモーダルシフト推進を見据え、全国で複数の輸送形態を展開している日本通運をパートナーとした。日本通運と2023年4月から共同で輸送品質の確認と検証作業を進め、外気温や振動などの影響に加え、現場オペレーションにも問題がないことが確認できたため、今回の本格運用の開始となった。
大陽日酸では、今後も納品先となる顧客への物流品質の維持・向上、モーダルシフトの推進と輸送網の最適化、そしてカーボンニュートラル社会の実現を目指すと共に、物流業界を取り巻く諸課題への対応を図るとしている。