エア・ウォーターが新中期経営計画を策定、「収益性の追求」へシフト

2025年~2027年度の3ヵ年計画「terrAWell(テラウェル)30 2nd stage」

 エア・ウォーターは2025年6月10日、2025年度から2027年度までの3ヵ年を実行期間とする中期経営計画「terrAWell(テラウェル)30 2nd stage」を策定したと発表した。同社は2030年度に目指す姿として「terrAWell30」を定めており、多様な事業領域と気候変動や超高齢化といった社会課題を踏まえた「地球環境」「ウェルネス」の2つの成長軸に沿って、事業活動を通じた社会課題の解決に貢献し、持続的な成長と企業価値の向上を図ってきた。

 前中期経営計画「terrAWell30 1st stage」(2022~2024年度)では、グループ全社で取り組んだ「売上収益1兆円」を2022年度に達成し、新たな企業ステージに立った。1st stageにおいては、グループ経営資源の最適化や成長領域の拡大、国内事業の収益力強化などを推し進めた結果、売上収益、営業利益の年平均成長率(CAGR)はそれぞれ6.6%、4.9%と着実に伸長した。

「terrAWell30 2nd stage」では「収益性の追求」へ

 今回策定された「terrAWell30 2nd stage」は、この1st stageまでの売上収益1兆円に向けた「規模の拡大」から「収益性の追求」へとフェーズを進める。既存事業を徹底的に見直し、生み出した経営資源を効率的に成長事業へ投資するとともに、低成長・低収益事業を中心に改善・合理化を実践することで、事業ポートフォリオを変革していく。そして、3rd stage(2028~2030年度)での「持続的成長への進化」につなげ、2030年に時価総額1兆円規模(現状の2倍水準)を目指すとしている。

 中計では5つの経営方針のもと、さらなる成長を目指す。事業ポートフォリオ戦略として、国内ガス事業をはじめとした「キャッシュカウ」から創出した資金を高成長事業に投資し、低成長・低収益事業については撤退を含めた見極めフェーズに移行する。

財務目標と株主還元方針を明示

 数値目標として、2027年度末に営業利益率8.5%、ROE 11%、ROIC 7%を目指す。2030年度末の目標は、それぞれ10%以上、12%以上、8%以上とした。

数値目標

 キャピタルアロケーションでは、2025年度から2027年度までの投資計として3,200億円を計画しており、これは2022年度から2024年度の2,864億円から増加した。特に成長投資としての設備投資とM&Aに2,500億円を充てる。維持・更新の設備投資は700億円を見込み、飛躍的成長に向けた大型投資は、必要に応じた負債調達により積極的に実行するとした。

キャピタルアロケーション

 株主還元については、同期間で800億円を計画しており、配当性向は35%を目標水準とし(2023年度までは30%)段階的に引き上げる。持続的成長と株主還元の充実の両立を目指し、累進配当を導入。また、成長投資とのバランスを踏まえ、資本効率や株価水準を勘案した機動的な自社株買いも検討する。

 ESGの取り組みとして非財務KPIも設定されており、2030年度までにGHG排出量30%削減(2020年度比)や、2030年度に廃棄物リサイクル率80%(2021年度65%)などの目標が掲げられている。