大陽日酸がMF-Tokyoでオイルフリー昇圧機採用のPSA方式「レーザ加工用窒素ガス供給システム」を発表

日酸TANAKAの「ファイバーレーザ切断機【FMRⅢ】」専用「軟鋼切断アシストMIXガス供給装置」や金属3Dプリンター関連技術も紹介

 大陽日酸は、2025年7月16日(水)~7月19日(土)に東京ビッグサイトで開催された鍛圧機械分野の国内最大の展示会「MF-Tokyo2025 第8回 プレス・板金・フォーミング展」に出展し、PSA方式の「レーザ加工用窒素ガス供給システム LTシリーズ」にオイルフリー昇圧機を採用した新モデルを公開した。また、グループ会社の日酸TANAKAが販売する「ファイバーレーザ切断機【FMRⅢ】」専用の「軟鋼切断アシストMIXガス供給装置 LT30N-NT」を使った切断比較サンプルを展示して、軟鋼切断時の裏面ドロスを抑えた切断面の品質向上を提案した。

MF-Tokyo 大陽日酸ブース

 LTシリーズはレーザ加工機用に開発された窒素ガス供給システムで、原料となる空気を圧縮するコンプレッサーユニットとPSA方式の窒素ガス発生装置、空気から取り出された高純度窒素ガスをレーザ加工機へ供給するための昇圧機と昇圧した窒素ガスをホルダーするタンクユニットから構成されている。窒素ガスの純度を上げるための精製装置無しで、99.999%までの高純度窒素ガスを発生することが出来るため、一般的なPSA方式で高純度精製用に必要な水素ガスによる精製装置が不要となる。

 また、専用のカラータッチパネルを搭載し、窒素を有効利用できるシステムを採用することでレーザ加工の操作性を向上、特許取得済みの省エネ技術で窒素ガスの使用量に応じた圧縮機のコントロールを行うことで、消費電力の削減も実現した。

 今回、LTシリーズにオプションとして安全機能を高めた大陽日酸専用のオイルフリー昇圧機を搭載する「LT-NL」シリーズ(純度99.999%の窒素ガス発生量30N㎥/hと50N㎥/hの2タイプ)の販売を開始した。製品窒素ガスへの油分の混入を無くしたことでレーザ加工機のレンズへのオイル付着リスクをゼロとし、オイル交換や廃オイル処理、油面の確認、オイルフィルター交換といった従来昇圧機のメンテナンスを省力化して維持管理を軽減、オイルに起因していたトラブルリスクを低減している。

「LT-NL」シリーズに搭載されるオイルフリー昇圧機
「LT-NL」シリーズに搭載されるオイルフリー昇圧機

 「ファイバーレーザ切断機【FMRⅢ】」専用の「軟鋼切断アシストMIXガス供給装置 LT30N-NT」は、軟鋼切断の品質向上を目的に開発されたFMRⅢ専用モデルで、基本的な構成はLTシリーズと同じだが、これまで軟鋼窒素切断の弱点ともされてきた硬質な裏ドロス付着を低減するために、一定量の酸素を含むMIXガスをダイレクトに生成することでドロスを抑えて、切断面の品質が向上することを切断サンプルを展示してPRした。また、酸素ガスとの切断速度比較では、アシストガスをMIXガスに変えることで同じFMRⅢ20kW機で板厚により約3倍~6倍と飛躍的な性能を発揮することを実演動画で示した。

 

 

 また、LTシリーズの高純度窒素など不活性ガスの利用用途として大陽日酸が販売する“ワイヤーDED方式”金属3Dプリンター2機種(アーク式とレーザー式)を中心に、AM(アディティブマニファクチャリング)事業がラインナップする各種装置・造形サンプル・造形材料も展示した。

 金属造形状態のモニタリング専用カメラ「3D Pro Insight」(参考出品)は、メルトプールの状態や造形物の形状を高画質で観察することができるカメラで、大陽日酸と日酸TANAKAが共同開発した溶接可視化カメラ「サンアークアイ」を金属AMの各種溶融方式に合わせた専用仕様になる。ワイドダイナミックレンジ撮像で、アークやメルトプールのハレーションを軽減してプロセス対象の広範囲を観察でき、常時モニタリングによる造形欠陥への対策が可能となることで、品質の向上や生産性の向上が期待できるとしている。