酸素富化燃焼技術で、アルミニウム溶解プロセスのCO2排出量を最大24.1%削減

大陽日酸・日本軽金属・日軽エムシーアルミの3社共同で実証

 大陽日酸と日本軽金属株式会社(本社:東京都港区、岡本一郎 代表取締役社長、以下「日本軽金属」)、日軽エムシーアルミ株式会社 (本社: 東京都港区、香山昌志 代表取締役社長、以下「日軽エムシーアルミ」)の三社は、酸素富化燃焼技術を適用したアルミニウム溶解プロセスにおいて、CO2排出量を通常の空気燃焼と比較して最大24.1%削減することを共同で実証試験し、酸素富化濃度および酸素投入位置を最適化することで、更に高効率なアルミニウム溶解実現の可能性あることを明らかにした。
 日軽エムシーアルミの商用アルミニウム溶解炉に酸素ランス方式(図1)を用いた酸素富化燃焼技術を適用し、酸素濃度が約40%までの条件で溶解試験を実施した結果、従来の空気燃焼と比べ最大24.1%のCO2排出量削減を達成し、省エネルギーとカーボンオフセットにメリットがあることを確認。酸素リッチな雰囲気に伴いトレードオフの関係となるNOx排出などの環境への影響および製品品質・歩留、操業面や設備への影響がない事も確認している。

図1 酸素ランス方式
図1 酸素ランス方式

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、日本国内に約3.7万基存在するとされる工業炉からの温室効果ガス(GHG)排出削減が急務とされる。今回、大陽日酸の酸素富化燃焼技術※1に着目し、三社共同でアルミニウム二次合金用溶解炉において実証試験を実施したもの。大陽日酸では、今回の実証試験により得られた多くの成果に基づき、アルミニウム製造におけるGHG排出削減へ挑戦を続けるとしている。

※1 酸素富化燃焼技術・・・燃焼に使用する空気に酸素を富化することで排ガスによる熱損失を低減し、熱効率の向上ならびにCO2排出量を削減する技術

 会社名 役割
 大陽日酸実証試験計画立案、酸素富化燃焼装置設計、数値流体解析、酸素供給
 日本軽金属実証試験計画支援、溶解炉周辺設備改造支援、アルミニウム溶解に関する知見提供
 日軽エムシーアルミ 実証試験場所提供、実証試験計画支援、操業および製品検証
実証試験における各社の役割