岩谷産業・大林組・コマツ3社共同で日本初、建設現場の水素燃料電池搭載油圧ショベル実証実験

「液化水素搭載型の移動式水素ステーション」の活用も視野

 大林組と岩谷産業、コマツは、3社共同で、2025 年 12 月に上信越自動車道(落石対策)北野牧(その2)工事(発注:東日本高速道路株式会社関東支社)で、水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベル(以下、FC ショベル)の実証実験を実施した。FC ショベルを実際の工事現場で使用する試みは日本で初めて(※1)となる。

上信越自動車道(落石対策)北野牧(その2)工事における実証実験の様子
上信越自動車道(落石対策)北野牧(その2)工事における実証実験の様子

 建設現場の CO2 排出量のうち約7割が軽油燃料に由来し、CO2 排出削減に取り組むうえで、バイオディーゼル燃料の採用や電動式建設機械の導入と併せて、水素を活用した建設機械の導入は有効な手段の一つとされる。
 コマツは、2023 年から FC ショベルの実証実験(※2)を重ね、ディーゼルエンジン駆動式と同等の力強い掘削性能と高い操作性に加え、排気ガスゼロや騒音・振動が低減することを確認。水素を活用する方式は、バッテリー駆動式と比べて、エネルギー密度が高く高出力のメリットがあるため、中型油圧ショベルを使う現場のカーボンニュートラル実現に向けた動力源の選択肢の一つとして活用が期待されている。
 一方で、社会実装に向けては、実作業環境での性能検証や水素充填方式の確立の必要性を認識し、東日本高速道路株式会社関東支社長野工事事務所の協力のもと、2025 年 12 月 10 日~ 2025 年 12 月 23 日、上信越自動車道(落石対策)北野牧(その2)工事の現場(仮置きヤード)内において、FC ショベルによる掘削残土の移動作業と、車載水素タンクへの水素充填の実証実験を行った。この実験により、建設現場での FC ショベルの実用性検証と、水素の供給・充填方法における今後の改善点の抽出を行った。

 各社の役割は、大林組が建設現場(実証フィールド)選定、実証実験の立案と実施を行い、岩谷産業は水素供給、技術支援(差圧充填設備)を担当、コマツがFC ショベル(コンセプトマシン)の提供、実証実験の立案、技術支援を行った。
 実証実験の結果、FC ショベルは従来のディーゼルエンジン駆動式と同等の作業性能発揮できることを確認。さらに、エンジンの振動がないことでオペレーターの疲労が小さく、騒音が小さいことから周囲の状況を把握しやすいなどのメリットも確認した。
 一方で、より大容量かつ高速な水素供給・充填の必要性など、実用化に向けた課題があることも改めて認識された。また、工事の進捗に伴い現場の状況が変化する中、水素充填の法規制を踏まえた、水素を活用した建設機械の安全かつ効率的な運用に適した現場条件がより明確になり、今後の導入に向けた実運用モデルや、現場選定の指針を検討するための重要な知見が得られたとしている。
 岩谷産業では、今後の検証分野として東京都の助成を受けて開発を進めている、大容量かつ高速充填が可能な「液化水素搭載型の移動式水素ステーション」(※3)の活用を視野に、水素ガス供給における課題抽出や対策への取り組みを進める。

※1 コマツ調べ(2026 年 1 月時点、日本国内の建設現場における FC ショベル活用の実証実験に関して)
※2 コマツ発 2023 年 5 月 12 日付けリリース:水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプトマシンを開発 実証実験を開始(https://www.komatsu.jp/ja/newsroom/2023/20230512
※3 新エネルギーの推進に係る技術開発支援事業 令和 5 年度採択事業を決定しました!|2 月|都庁総合ホームページ