岩谷産業、ウェルディング・トリニティ(三位一体提案活動)を全国展開

ダイヘン最新デジタル溶接機と新溶接用混合ガス「シールドマスター」のコラボレーション企画を推進

 岩谷産業は、現在「ウェルディング・トリニティ」と題して、溶接技術における3要素である溶接機、ワイヤ、シールドガスの三位一体の最適提案活動を強力に推進している。

 高度化・複雑化する昨今の溶接課題を高いレベルでクリアするには、以前にもまして溶接機(ロボットも含む)、ワイヤ、シールドガスの3要素を最適化することが重要なポイントとなる。

 中でも岩谷産業は今回の提案活動で、「更なる高速溶接の実現」に焦点を当てる。溶接の高速化には、従来の直流パルスマグ溶接では、アーク力が強すぎて、主にアンダーカット、ハンピングが問題となりやすくなっていた。その対応としては、電圧を低くしてアンダーカットを防止していたが、それは反面スパッタの増加という新たな課題を生む。

 そこで、その高速化ニーズに応えるべく、株式会社ダイヘンと共同で溶接機、ワイヤ、ガスのベストマッチングを検討し、咋年ウェルディングショーの岩谷産業の展示で初公開し好評だった、高速化促進シールドガス『アコムFF』と、デジタル交直両用パルス溶接機『DW300』、最適ワイヤを組み合わせて、従来の限界を超えた高速でアンダーカットのでない溶接を可能にするアプリケーションパックを開発した。

 当初より、『DW300』はアークコントロールに優れた交流/直流両用の最新デジタルパルス機だが、特に交流モードは、直流と比較して、同電流でのワイヤ溶融量が多く、アーク圧力が低減されるため、高速でも安定したビードを形成することができる。さらに、フラットで幅広ビード生成機能を高めた『アコムFF』と組み合わせることで、その能力はさらに高められ、200cm/minでもアンダーカットのでない高速溶接を可能とした。これに最適ワイヤをアレンジすることで、溶接の高速化のための「三位一体(トリニティ)」を実現する。

 現在、岩谷産業とダイヘン両社は全国各地で高速アプリケーションを中心とした実演セミナーを企画・実施している。最新高機能商品群による問題解決はもちろんのこと、コストダウンにもこだわった複合ソリューション提案は、来場のユーザーからも高く評価されるものになっており、その反響の大きさから、更にブラッシュアップした共同企画を準備している。

 また、昨年度、岩谷瓦斯株式会社と共同で、既存の溶接サポートセンターを設備拡充し、『イワタニ溶接技術センター』を設立した。同センターでは、シールドガス等の研究開発、デモサンプル評価試験の他に、ユーザーからの溶接試験や教育育成なども受託できるよう体制を整えた。今後も「ウェルディング・トリニティ」を推進する為、同センターはもとより、各関連メーカーとタイアップし、グループ各社、イワタニ会会員などにも、参画を呼びかけてこの提案活動を更に深化させていく。

 なお、6月15日・16日の両日、千葉市稲毛区のポリテクセンター千葉で行われる岩谷産業千葉支店・東京支店共催の「ウェルディング&カッティングセミナー」では、地域のニーズに対応した「ウェルディング・トリニティ」について、実機展示を含めて実演を交えた具体的かつ詳細なセミナーがプログラムされている。

【参考】
※アンダーカット:溶接金属が被溶接材料の端部を満たさないで、溝となって残っている部分
※ハンピング:溶接が安定しない結果、形成される波型ビードが形成される現象