大陽日酸、省エネ型酸素燃焼式高濃度ガス変成炉の販売を開始

 大陽日酸は、酸素ガスを使用し、省エネで高濃度の変成ガスを生成できる「省エネ型酸素燃焼式高濃度ガス変成炉」を開発し、販売を開始した。

 代表的な鋼の表面硬化処理である浸炭処理においては、熱処理炉の雰囲気ガスを製造するためのガス変成炉が必要になる。浸炭処理の中でも特に、大規模生産に適し広く利用されているガス浸炭法では、吸熱型ガス変成炉を用い LP ガスなど炭化水素系のガスを Ni(ニッケル)触媒による吸熱反応によって変成するが、電気を使って Ni 触媒を 1000℃以上の高温に加熱する必要がある。
 大陽日酸では、長年培ってきた酸素燃焼技術と、ガスコントロールによる熱処理雰囲気の最適化技術を融合し、酸素バーナを使用することで電気による加熱が必要な吸熱型ガス変成炉を使わずに雰囲気ガスを生成できる省エネ型の高濃度ガス変成炉を開発した。

 本装置は、吸熱型ガス変成炉の代替装置であり、電気加熱を酸素燃焼に変更することで、熱処理工場の電気使用量削減に大きく貢献する。また、従来の吸熱型ガス変成炉は LP ガスと空気の改質により 20%程度の CO(一酸化炭素)と 30%程度の H2(水素)を含む変成ガスを生成するのに対し、本装置では、LP ガスと酸素を使用して、40%以上の CO と 50%以上の H2 を含む変成ガスが生成できる。これにより従来よりも浸炭能力が高まり、浸炭時間の短縮が可能となり、熱処理工程におけるランニングコスト削減にも大きく貢献する。

 今後、金属部品の小型・軽量化が進み、熱処理による強度の確保や表面処理の需要はますます高まってくると予想され、電気を使用しない新しい酸素燃焼式高濃度ガス変成炉は熱処理分野への貢献が大きく期待される。4年後の 2016年度には累計売上高 6.4 億円を計画し、これによる4年後の酸素需要は年間約 2 億円が見込まれる。