大陽日酸、凍結保存試料の探索アプリ開発
大陽日酸は、特殊な識別ラベルを用いて複数の凍結保存試料中から目的試料を瞬時に特定する iPod touch用の「試料探索アプリ」を開発した。
再生医療や不妊治療、畜産分野や細胞研究では、増殖させた細胞や、採取した細胞を安定して保存するために、液体窒素(-196℃)により超低温に保たれた凍結保存容器が用いられる。凍結保存容器内において、細胞はバイアルとよばれる容器(容量 1~2ml)や、ストロー状の凍結保存器具(以下、ストロー)に入れて凍結され、バイアルや、ストローはケーンと呼ばれる収納具でまとめて保存する方法が広く採用されている。
一般的に、ケーンを取り出す際は、ケーン先端に表記した番号などの識別情報を目印として目視で探しているが、ケーンの取り間違いや、複数のケーンから目的ケーンを見つけるまでに時間がかかることで温度が上昇し、細胞にダメージを与えてしまう等の問題があった。
開発された試料探索アプリでは、ケーンに特殊な識別ラベルをつけてケーンの探索を行い、この識別ラベルを iPod touch に搭載された試料探索アプリのカメラで見ると、特定したケーンにはカメラ画面上で緑のマークが表示され、複数のケーンから、指定した目的のケーンを瞬時に特定することが可能となる。これにより細胞の温度上昇の抑制、目視での見間違いによるケーン取り間違いの抑制を実現する。
識別ラベルは、識別情報の印字が液体窒素中で消えないよう、液体窒素耐性素材を用いた。開発に当たっては、国立成育医療研究センター研究所 生殖医療研究部部長の阿久津英憲先生が協力している。
試料探索アプリは 2018 年度中の製品化を予定し、試料探索アプリと連動して使用可能な試料情報の管理ソフトの開発も行っている。