誠和とノーリツ、”低温炭酸ガス局所施用システム”を共同開発。年間を通じ収穫量アップ
大手農業資材メーカー誠和(本社:栃木県下野市)と、湯まわり設備メーカーのノーリツ(本社:兵庫県神戸市)は、ハウス栽培など施設園芸分野の収穫量増加に貢献する低温炭酸ガス局所施用システム「真呼吸」を共同開発し、誠和から2019年3月1日にモニター販売を開始する。正式販売は2019年夏を予定。炭酸ガス発生量は、6・7kg/時(外気温20℃以下、燃料消費量2・72L/時)。ノーリツは農業分野へ初参入となる。
現在、農業分野では、担い手不足や農業生産技術の高度化の流れの中、ハウス栽培などの作物の収穫量増加や、品質向上を目的とした、施設園芸の高度な環境制御(温度・CO2・湿度・光・気流速などを管理)の普及が進んでいる。
「低温炭酸ガス局所施用システム」は、施設で生産される作物の収穫量増加やエネルギー消費の最適化に効果がある。炭酸ガス(CO2)は植物の光合成に必要な要素だが、日中、園芸施設内の空気中の炭酸ガスは植物の光合成で自然に消費・減少していく。当システムはこの日中の炭酸ガス不足を補うために、園芸施設内に設置した専用のダクトから炭酸ガスを放出する。
従来は、灯油などを燃焼させて高温の炭酸ガスを放出するため、施設内の温度の上昇がともない”冬期のみ”の運転となり、通年で炭酸ガスを安定的に供給することが課題だった。誠和が保有する環境測定および制御技術・栽培ノウハウと、ノーリツが保有する給湯機器で培った燃焼技術を組み合わせ、低温で炭酸ガスを放出できる製品開発に取り組んだ。
ノーリツの燃焼技術と熱交換技術により、灯油を燃焼させて発生した炭酸ガスの熱を燃焼機内の熱交換器とラジエータで除熱し、低温の炭酸ガスの放出に成功。これにより、炭酸ガスを通年で施用することができ、作物の収穫量増加を見込むことができるシステムとなる。
炭酸ガスを放出する専用の局所施用小径ダクトで、施用効率と設置性の向上も実現した。また、燃焼に関わる安全確保のために、CO警報器を標準装備する。システムは本装置と専用操作盤、送風機などで構成される。