昭和電工、除害装置性能評価の温室効果ガス分析・計測サービスを開始
昭和電工(森川 宏平 社長)は、半導体や液晶パネルなどの製造工程で排出される各種有害ガスを処理する除害装置において、除害装置の性能を評価する温室効果ガスの分析・計測サービスを開始する。
半導体や液晶パネルの製造工程では、PFCs(注1)などさまざまな温室効果ガスが使用されるが、これらのガスの使用者は自らの生産ラインから排出される温室効果ガスを除害処理し、排出量を算定して国に報告することが義務付けられている。
排出量の算定方法は2006年IPCC(注2)ガイドライン(注3)にまとめられているが、ガイドライン制定後の科学的・技術的進展を考慮して一定の改良が必要と考えられ、2019年5月に京都で開催されるIPCC第49回総会で従来のガイドラインを更新・追加・精緻化・厳格化した新しいガイドラインが採択・承認に向けて検討される予定。
新しいガイドラインには、プロセスや除害技術ごとに除害効率値の基準が設定される見込みだが、測定には工数がかかり、分析ノウハウも必要となる。昭和電工は、これら温室効果ガスを分解する除害装置を製造販売してきたことにより各種ガス類の取り扱いのノウハウを有することから、2019年5月より従来のメンテナンスに加え、オプションとして除害効率(装置の出口、入口のガス濃度)の分析・計測サービス(注4)を提供することを決定した。
昭和電工は、本年スタートした中期経営計画 “The TOP 2021” において「CUSTOMER Experienceの最大化」を経営戦略に掲げている。電子材料用高純度ガスや除害装置の製造販売およびメンテナンスサービスを提供するだけでなく、除害装置による除害処理性能を評価する測定サービスを加えることで、電子材料用高純度ガス事業に関連する幅広いソリューションを提供し、CUSTOMER Experienceの最大化に努める。
(注1)PFCs
パーフルオロ化合物の略で、半導体や液晶パネルの製造工程でのエッチングや洗浄に使用される代替フロンガスの一種。代表的なものとして、CF4、C2F6、C3F8、C4F8、CHF3、SF6、NF3の7種をPFC等ガスという。
(注2)IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC、国連気候変動に関する政府間パネル)
人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うため、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織で、政府の推薦で選出された専門家による科学的分析、社会経済への影響、気候変動を抑える対策が盛り込んだガイドラインが示され、国際的な地球温暖化問題への対応策を科学的に裏付ける組織として大きな影響力がある。
(注3)IPCCガイドライン(正式には「気候変動に関する政府間パネル国別温室効果ガス排出インベントリガイドライン」)
気候変動枠組み締約国(いわゆる先進国)が、温室効果ガスインベントリを作成する際に使用する算定基準のこと。
(注4)除害効率(ガス濃度)の測定サービス
主にFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を使用して、除害装置の出口・入口の温室効果ガスの分析を行い、除害効率を測定する。同時にHFなどの温室効果ガスを分解したガスについても測定可能。さらに、GC(ガスクロマトグラフ)も必要に応じて用いることで、FT-IRで分析できないガス(F2など)の分析もできる。