大陽日酸、2019年3月期連結決算(国際財務報告基準)
大陽日酸の2019年3月期(2018年4月~2019年3月)の連結決算は、売上高7403億4100万円(前年同期比14.6%増)、コア営業利益658億1900万円(同9.6%増)、営業利益668億6300万円(同11.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益412億9100万円(同15.6%減)だった。期末配当を1円増配の13円とし、年間配当金は25円。
当期のグループ事業環境は、国内、海外での製造業の生産活動は堅調、セパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷は順調だった。エレクトロニクス関連では、国内の一部製品分野向け電子材料ガスの出荷が減少した。
2018年12月3日に米国Praxair, Inc.の欧州事業の取得を完了。当連結会計年度におけるセグメント利益の調整額に、欧州事業の取得関連費用(アドバイザリー費用等)として26億9500万円が含まれる。
セグメント別概況
- 【国内ガス事業】産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの売上収益は、主要関連業界である鉄鋼、化学向けを中心に 順調に推移。2017年10月に新たなオンサイト工場を開設し、オンサイトの売上収益は増加した。ハードグッズは金属加工向けを中心に売上収益が大きく増加した。メディカルでは、2018年10 月に買収した医療機器販売会社アイ・エム・アイ(株)が収益に貢献した。エレクトロニクス関連では、電子材料ガスの売上収益は減少した。 売上収益は3639億5100万円(前年同期比5.5%増)、セグメント利益 は298億0800万円(同 5.0%減)。
- 【米国ガス事業】産業ガス関連では、製造業での生産は順調で、バルクガス、ハードグッズの売上収益は大きく増加し た。オンサイトでは、化学メーカー向け等の新規案件の稼動が開始したことに加え、2019年2月にドイツの Linde Aktiengesellschaft(以下、「Linde AG」)の子会社 Linde Gas North America LLC(以下、「Linde America」)から買収したHyCO事業※の貢献もあり、増収となった。エレクトロニクス関連では、機器・工事の売上収益は大幅に増加した。売上収益は1873億2300万円(同8.5%増)、セグメント利益は156億3400万円(同15.3%増)。※天然ガス等から水蒸気改質装置などで分離される水素(H2)・一酸化炭素(CO)を、石油精製・石油化学産業な どにパイプラインを通じて大規模供給する事業。
- 【欧州ガス事業】米国Praxair, Inc.から買収した欧州事業は、ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマ ーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーで展開する産業ガス事業、英国・アイルランド・オランダ・フランスで 展開する炭酸ガス事業、及びヘリウムに関連する事業となる。売上収益は551億0100万円、セグメント利益は65億6700万円。
- 【アジア・オセアニアガス事業】産業ガス関連では、中国・東南アジアで、バルクガスを中心に販売が堅調に推移し、売上収益は増加した。 豪州は、プロパンガス及び関連機器の販売が好調。エレクトロニクス関連では、台湾での会計処理変更の影響による減収があるが、電子材料ガスの出荷は堅調だった。売上収益は1061億6400万円(同2.9%増)、 セグメント利益は91億4900万円(同 0.9%減)
- 【サーモス事業】国内ではスポーツボトルを中心に販売が好調で、2019年2月から発売した新製品「取っ手のとれるフライパン」の販促効果もあり、売上収益は増加した。海外では、韓国での販売が好調。売上収益は278億0000万円(同9.6%増)、セグメント利益は91億8900万円(同 18.6%増)。
今後の見通し
国内ガス事業では、セパレートガスは主要関連業界である鉄鋼・化学・輸送機器向け需要が堅調に推移し、緩やかながら売上増が見込まれる。また、エレクトロニクス関連では、国際競争力の高い半導体メーカー向けに電子材料ガスの売上増を目指す。
米国ガス事業では、順調な製造業の生産活動を背景にバルクガス、ハードグッズの売上増を見込む。また、2019年2月に米国Linde Americaから買収したHyCO事業も収益の拡大に貢献する。2018年12月に米国Praxair, Inc.から買収した欧州ガス事業は、高い収益性の維持と安定的な成長が見込まれる。アジア・オセアニアガス事業では、フィリピン、ベトナムでの新規プロジェクトの立ち上げなどにより、収益の拡大が見込まれる。
サーモス事業では、2019年2月に発売した新製品「取っ手のとれるフライパン」など顧客ニーズを捉えた新製品を投入し、収益を確保する。
次期業績予想のUSドル・ユーロの想定為替レートは、 それぞれ110円/USドル、125円/ユーロ。
2020年3月期(2019年4月~2020年3月)の連結業績予想は、売上収益8900億円(前年同期比20.2%増)、コア営業利益950億円(同44.3%増)、営業利益1020億円(同52.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益570億円(同38.0%増)を見込む。配当予想は中間13円、期末13円とし、年間配当金は1円増配の26円とした。