岩谷産業、2019年3月期連結決算
岩谷産業の2019年3月期(2018年4月~2019年3月)の連結決算は、売上高7150億8500万円(前年同期比6.6%増)、営業利益264億5600万円(同2.7%減)、経常利益299億5200万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する純利益192億2100万円(同9.4%増)だった。期末配当金を10円増配し、年間配当金は65円。
中期経営計画「PLAN20」の基本方針「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組み、LPガス事業でセントラル石油瓦斯株式会社を完全子会社化し、グループの事業会社や物流会社での事業効率化に向けた取り組みを開始した。また、水素エネルギー社会の実現に向けて、米国での水素ステーション運営のノウハウ獲得と北米におけるCO2フリー水素の製造・供給体制の構築の足掛かりとして、米国カリフォルニア州において水素ステーション4カ所を買収した。
セグメント別概況
【総合エネルギー事業】総合エネルギー事業は、気温が例年より高く推移したことにより民生用LPガスの販売数量が 減少したが、LPガス輸入価格が高値で推移したことに加え、都市ガス増熱用のLPガスの販売が伸長し、増収要因となった。一方、利益面については「カセットこんろ・ボンベ」やガス保安機器の販売が好調に推移したが、LPガスの市況要因(前年度比33億円のマイナス)により減益となった。セグメント売上高は3359億6200万円(前年度比150億2300万円の増収)、営業利益は108億7100万円(同29億4300万円の減益)。
【産業ガス・機械事業】 産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスは電力料金の上昇による製造コストの増加があったものの、電子部品業界向けを中心に販売が増加した。水素事業については、水素関連設備の販売は減少したが、液化水素の販売は伸長した。ヘリウムについては世界的に需給がひっ迫し、販売数量が減少したが、市況が上昇し収益性が改善した。機械設備は、前期に大型設備案件を受注した反動減があったが、大型ガス設備、自動車関連向けロボット、半導体設備等の販売が伸長した。セグメント売上高は1860億2700万円(前年度比114億2300万円の増収)、営業利益は111億4100万円(同13億2400万円の増益)。
【マテリアル事業】 マテリアル事業はミネラルサンドの販売が増加したことに加え、資源市況も上昇し、収益が拡大した。また、機能性フィルムの販売が減少したものの、環境に優しいPET樹脂原料や二次電池材料の販売が大きく伸長した。セグメント売上高は1591億0200万円(前年度比199億3000万円の増収)、営業利益は57億4000万円(同12億6900万円の増益)。
【自然産業事業】自然産業事業は冷凍野菜の販売が横ばいに推移したものの、仕入コストが上昇し収益性が低下した。また、農業設備や種豚の販売は好調に推移したが、畜産設備の販売が減少した。セグメント売上高は287億4100万円(前年度比23億2000万円の減収)、営業利益は11億1500万円(同2億1600万円の減益)。
【その他】セグメント売上高は52億5100万円(前年度比2億3600万円の増収)、営業利益は9億7600万円(同3500万円の増益)。
2020年度3月期連結業績予想
総合エネルギー事業は、引き続きM&Aの推進によりLPガス直売顧客数の拡大を図るとともに、燃料転換推進により工業用LPガスの販売数量の増加に努める。また、LPガスや都市ガス 顧客に対して、ガス関連機器や「富士の湧水」などのBtoC商品の販売を強化するとともに、カートリッジガス事業においては国内外でのさらなる事業拡大に努める。
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスの販売強化に努め、液化水素の拡販やヘリウムの国内外での収益拡大に取り組む。機械設備については産業ガス事業との相乗効果を発揮し、国内外の電子部品、自動車関連、半導体等の業界を中心に拡販し、事業拡大に努める。
マテリアル事業は、環境に優しいアルミ・バイオPET樹脂やバイオマス燃料、二次電池材料等の拡販に取り組む。また、海外事業の強化に取り組み、事業規模の拡大に努める。
自然産業事業は、品質管理を徹底し、国内外で安心・安全な食品の販売拡大に努めるとともに、農業生産事業への参入や商品開発により事業領域の拡大に取り組む。また、大手事業者との提携により種豚事業の強化を図る。
次期の連結業績見通しは、売上高7473億円(前年度比4.5%増)、営業利益305億円(同15.3%増)、経常利益330億円(同10.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益205億円(同6.7%増)を見込む。また、「PLAN20」においては経常利益330億円、ROE10.0%以上、ネットD/Eレシオ0.7倍を経営数値目標とする。 年間配当金予想は65円。