岩谷産業、世界初のファインバブル水による針葉樹苗木の生育促進技術を開発
岩谷産業は、針葉樹の苗木栽培において、ファインバブル水(微細な泡を含んだ水)を用いることで生育促進効果が得られることを世界で初めて発見した(特許出願中。論文と特許出願状況をもとに自社で調査)。スギ苗木のコンテナ栽培に応用が進むことで少花粉スギの普及促進への応用が期待される。
岩谷産業では針葉樹の中でも、まずはスギ苗木の生育促進の実用化に注力する。花粉症の主な要因の一つはスギ花粉であり、スギ花粉の対策として花粉の少ない「少花粉スギ」への植替えが進められている。しかし、高齢化による苗木生産者の減少などもあり、苗木作りの生産性向上(栽培期間の短縮など)が普及に向けた課題となっている。
微細な気泡であるファインバブルは、空気を用いて水中に発生させた際に溶け込んでいる酸素濃度を大幅に上昇させたり、発芽や発根を促す活性酸素を発生させたりする特性がある。岩谷産業では、この「ファインバブル水」をスギ苗木の栽培に利用したところ、通常の水を利用した場合に比べて苗木の育成が早く、枝や根の張りも良くなることを確かめた。これにより、未成熟苗を減らして歩留まりを向上させることができるようになり、従来、種まきから植林できる大きさになるまでに 2~3 年の期間を必要としていたのに対し、1 年半~2 年に短縮することが期待できる。
なお、試験地設定と生育評価においては、兵庫県立農林水産技術総合センター 森林林業技術センターによる技術指導を仰ぎながら実施した。
今後は 2020 年度中を目処に本技術の実用化を目指すとともに、さらなる効果としてファインバブル水で育成した苗木を植林し、活着率(枯れることなく根付く割合)も高められるかを検証する。将来的には、ファインバブル水による栽培装置の販売を行うなど事業化に向けて取り組む。