大陽日酸 2021年3月期第1四半期連結決算(国際財務報告基準)

売上収益12.3%減、コア営業利益35.2%減

 大陽日酸の2021年3月期第1四半期決算(国際財務報告基準)は、売上収益1845億0300万円(前年同期比12.3%減)、コア営業利益140億7000万円(同35.2%減)、営業利益140憶7000万円(同33.3%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益74億3600万円(同39.1%減)だった。サーモス事業を除く第1四半期の売上収益1795憶円の割合は、産業ガス68%、エレクトロニクス19%、メディカル8%、エネルギー5%。

 当期のグループの事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、進出国及び地域では大幅な景気低迷と需要減退の局面を迎える中、製造業の生産活動が減速しており、セパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷は減少した。

 セグメント業績は次の通り。(利益はコア営業利益)

【国内ガス事業】

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの売上収益は、関連業界での生産活動が低調に推移し、前期に比べ大きく減少した。一方、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの売上収益は、前期並みとなった。機器・工事では、金属加工向けの溶接・溶断関連機材を中心に前期を下回った。売上収益は760億8400万円(前年同期比9.2%減)、セグメント利益は45億6800万円(同19.4%減)。

【米国ガス事業】

 産業ガス関連では、パッケージ・バルクを中心に、主力製品であるセパレートガスの売上収益は大きく減少した。オンサイトでは供給先の需要低下の影響で前期を下回った。機器・工事では、エレクトロニクス関連での売上収益は増加したが、金属加工向けの溶接・溶断関連機材では、州内での小売店舗の営業活動自粛の影響もあり、大幅に減少した。売上収益は448億9800万円(前年同期比9.7%減)、セグメント利益は36億0500万円(同31.9%減)。

【欧州ガス事業】

 主要地域となるイベリア(スペイン・ポルトガル)、ドイツ、イタリアでは生産活動全般に停滞が生じたことで、バルクガスの需要は大きく落ち込んだ。また、オンサイトでは、供給先の需要低下の影響を受けて大幅に減少。機器・工事では、金属加工向け溶接・溶断関連機材を中心に大きく減少した。売上収益は351億0900万円(前年同期比20.3%減)、セグメント利益34億0000万円(同50.9%減)。

【アジア・オセアニアガス事業】

 産業ガス関連では、フィリピン等での都市部封鎖や製造業の生産活動停滞の影響を受け、主力製品であるセパレートガスの売上収益は大きく減少した。LPガスでは、仕入での契約価格低下による販売単価下落はあったが、豪州での出荷は堅調だった。エレクトロニクス関連では、東アジアでの電子材料ガスの出荷は好調だった。機器・工事では、台湾での工事案件の剥落に加え、シンガポールでのスポット案件の減少と金属加工向け溶接・溶断関連機材を中心に大きく減少した。売上収益は234億5100万円(前年同期比10.4%減)、セグメント利益23億3500万円(同10.3%減)。

【サーモス事業】

 サーモス事業は国内では、国の緊急事態宣言による外出制限や営業自粛要請に伴い、新学期や行楽シーズンでの販売機会を喪失し、主力製品のケータイマグの売上収益は大きく減少した。一方、自宅での生活時間が伸びたことによるフライパンやタンブラーの販売は堅調だった。また、2020年7月に開始されたレジ袋有料化に合わせてエコバックの販売を開始している。海外では、各地域での景気減退の影響を受けて、販売数量が減少した。売上収益は49億5900万円(前年同期比24.7%減)、セグメント利益は6億3000万円(同67.2%減)。

通期連結業績予想

 2020年5月12日に公表した2021年3月期の連結業績予想から修正は行っていない。この業績予想は、新型コロナウイルス感染症の拡大により悪化した世界経済の状況が第2四半期連結会計期間から徐々に回復し、第3四半期連結会計期間以降はほぼ正常化することを前提としており、当第1四半期連結会計期間末においてこの前提を変更していない。実際の業績等は、今後の感染症拡大の状況などにより大きく異なる可能性がある、としている。