昭和電工、プラスチックケミカルリサイクル事業で産業廃棄物処分業許可を取得

 昭和電工は、7月1日付で産業廃棄物処分業の許可を取得し、破砕成形された状態のプラスチック産業廃棄物の受け入れを開始した。

 同社の川崎事業所(神奈川県川崎市)では、2003年から容器包装リサイクル法に基づく使用済プラスチック(以下、容リプラ)を化学原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル事業」(「川崎プラスチックリサイクル(KPR=写真)」)を行っている。受け入れた容リプラは高温でガス化して分子レベルまで分解し、水素(以下、低炭素水素)と二酸化炭素へ転換、低炭素水素は主にアンモニアの原料に、二酸化炭素はドライアイスや炭酸飲料向けに使用されている。

「川崎プラスチックリサイクル(KPR)」
KPR外観

 昭和電工は、ガス化によるケミカルリサイクルとしては世界で唯一、長期にわたる商業運転の実績を持つ。昨今の海洋プラスチック問題等、廃プラスチックの高度リサイクルに対する社会的ニーズが高まる中、今回の産業廃棄物処分業許可取得により安定的に廃プラスチックを確保することが可能となる。原料ソースを多様化することで、本事業を安定継続する体制を整えた。

 日本で毎年排出される約900万トンの廃プラスチックのうち、再利用されるものは750万トン(このうちケミカルリサイクル39万トン、マテリアルリサイクル208万トン、サーマルリサイクル503万トン)、未利用のまま焼却処分や埋め立て処分されるものが142万トンある(注1)。ケミカルリサイクルは廃プラスチックを原料に戻して再利用できるため、資源循環型社会実現のための重要な技術の一つとして注目されている。

 神奈川県川崎市は、経済産業省および環境省からエコタウンとして認定(注2)されており、2015年7月、昭和電工と川崎市は低炭素水素社会の実現に向けた連携・協力に関する協定を締結、使用済プラスチック由来の低炭素水素を活用した環境負荷の低い水素社会の実現を目指している。これまで、低炭素水素を川崎市内のホテルに設置した燃料電池や、燃料電池車用の水素ステーションに供給する実証実験を行っている。本取り組みは、環境省の「使用済プラスチック由来低炭素水素を活用した地域循環型水素地産地消モデル実証事業」として受託・実施される。

 昭和電工では、事業活動を通じたSDGs課題解決への貢献を目指し、資源循環型社会を支える事業を積極的に推進しており、「今後も様々な製品・サービスの提供を通じ、豊かさと持続性が調和する社会の創造に貢献する」としている。

(注1)一般社団法人プラスチック循環利用協会による推定

(注2)エコタウン事業とは、「ゼロ・エミッション構想」を地域の環境調和型経済社会形成のための基本構想として位置づけ、併せて、地域振興の基軸として推進することにより、先進的な環境調和型のまちづくりを推進することを目的として創設された制度。川崎市は、1997年に同事業を推進する経済産業省(当時は通商産業省)及び環境省(当時は環境庁)から、国内第1号のエコタウン地域の認定を受けた。