東芝エネルギーシステムズ、積水化学からCO2分離回収試験装置を受注

ごみ再資源化実証プラントの排ガスから高純度のCO2を回

 東芝エネルギーシステムズは、積水化学工業株式会社(以下、積水化学)が岩手県久慈市に建設中のごみ再資源化(エタノール化)実証プラント向けにCCU*1(CO2を分離、回収、利用する技術)実証のためのCO2分離回収試験装置を受注した。本試験装置は2021年6月に茨城県つくば市にある実験場に納入を予定している。その後試運転を経て、最終納入先である久慈市の実証プラントに設置し、2021年度末の運転開始を予定する。本設備の納入により、実証プラントから発生する排ガスから、1日で最大10kgのCO2を回収できる。

 CO2分離回収設備は、火力発電所や清掃工場などから排出されるCO2を回収するための設備。東芝エネルギーシステムズはCO2の回収方法として、あらゆる排ガスに適用でき、CO2の回収規模が任意に設定可能な化学吸収方式による燃焼後回収技術を採用している。本方式で用いる水溶液は、低温時にはCO2を吸収し、高温時にはCO2を放出するという特性を有しており、その特性を活用してCO2を分離回収する。

 本件は積水化学が受託した、環境省の「二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」の一環で受注したもの。本装置から回収した高純度のCO2は、水素を活用して一酸化炭素と水素からなる合成ガスに変換される。また、合成ガスと微生物触媒を用い、石油化学製品の原料となるエタノールを製造する。
 東芝エネルギーシステムズは2019年10月に、CO2を資源循環に活用するために分離回収する装置の設計業務を積水化学より受託し、装置導入に向けた支援を進めてきた。今回、東芝エネルギーシステムズの装置設計を基に想定した、回収CO2の純度の高さ、および清掃工場向けにCO2分離回収設備の納入実績があり、そこで培ったCO2分離回収に関する技術と知見が評価され、受注に至った。

 東芝エネルギーシステムズはCO2分離回収設備に関し、佐賀市の清掃工場向けや、アサヒグループ向けなどに試験装置も含め日本国内で5件の納入実績があり、本件は6件目にあたる。今後も多様なCCUS*2(CO2を分離、回収、利用、貯留する技術)ニーズに対応した、CO2分離回収設備の技術開発を進め、国内外での受注拡大を図り、地球温暖化防止に寄与するとしている。

*1:Carbon dioxide Capture and Storage
*2:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage