酸素ボンベの開栓の未確認で医療安全情報

酸素ボンベ使用の際、バルブ(元栓)を開けていなかった事例5件報告

 日本医療機能評価機構は、酸素ボンベの開栓を確認せず、患者に酸素を投与していなかった事例が報告されているとして医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.168「酸素ボンベの開栓の未確認」を公表した。

 これによると2016年1月1日~2020年9月30日の集計期間において、酸素ボンベの開栓の未確認の事例が5件報告された。

事例 1

 看護師は、酸素4L/分投与中の患者をCT検査室に搬送した。酸素ボンベから検査室の中央配管の酸素に切り替え、酸素ボンベのバルブ(元栓)を閉めた。検査終了後、診療放射線技師は酸素ボンベの開栓を確認せず、中央配管から酸素ボンベに切り替えた。看護師が検査室に行くと、患者のSpO2値は75%に低下していた。酸素ボンベを確認すると、バルブ(元栓)が開いていなかった。

事例 2

 看護師は、酸素3L/分投与中の患者を血管造影室に搬送するために酸素ボンベを準備し、流量設定ダイヤルを操作して酸素の流出を確認後、バルブ(元栓)を閉めた。その際、圧力調整器に残った酸素を放出しなかったため、圧力計の表示値は10MPaのままであった。出棟する際、流量設定ダイヤルを3L/分に合わせると酸素が出る音が聞こえたため、開栓していると思い込んだ。血管造影室に移動中、患者のSpO2値が71%に低下した。酸素ボンベを確認すると、バルブ(元栓)を開けていなかったことに気付いた。

 医療安全情報では、事例が発生した医療機関での取り組みとして、酸素ボンベ使用時はバルブ(元栓)が開いていることを確認してから酸素の流量を調整する等の一例を挙げ、ポイントして酸素ボンベ使用時は、1.バルブ(元栓)、2.圧力計、3.流量設定ダイヤル、の手順で確認するとしている。